新都知事で実現?銀座〜有明「地下鉄構想」 五輪後の臨海部発展に中央区は期待するが…

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中央区が切望する2つ目の理由。それは、区内の鉄道不便地域に地下鉄を繋げてほしいとの要望があったからだ。臨海部に位置する勝どきから晴海にかけてのエリアは1968年に晴海通りの都電が廃止された後、地下鉄整備の流れから外れてきた。

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2000年に開業した大江戸線勝どき駅。利用者が想定を大幅に上回り、現在、ホームの増設工事中。新線の駅予定地は、駅南側、晴海地区との運河沿いを想定(筆者撮影)

地元の長年の請願もあって2000年、大江戸線勝どき駅が開業する。ただ、乗降客者は想定を大幅に上回り、2013年度の乗降客数は9万人/日を超えた。都心に近いにもかかわらず遊休地が点在していたが、勝どき駅による発展を期待してマンションや商業施設の整備が急激に進捗したのも要因だ。

朝ラッシュ時の勝どき駅。3分間隔で地下鉄が到着すると、下車客が階段やコンコースで滞留してしまう。地上でも、出口から黎明橋を経て晴海トリトンスクエアに至るルートは特に混み合う。勝どき駅の1面2線ホームを2面に増設する工事が進められて2018年度に完成予定だが、サイズの小さいリニア地下鉄では、早晩、飽和状態になる。

隣接する江東区の有楽町線豊洲駅も同様だ。ゆりかもめが延伸してきた2006年以降、急激に利用者が増えて、2015年に20万人/日。10年前の3倍となった。

将来的にも、2016年11月に築地から移転する豊洲市場、五輪選手村跡地である晴海五丁目など大規模開発が予定されている。中央区は、2030年の臨海部(銀座から晴海・有明にかけてのエリア)の夜間人口で7万人増、従業人口で10万人増と推計する。

本当に需要はあるのか?

想定の通り人口が増えていくなら、地下鉄整備の環境はあるのかもしれない。ただ、課題も山積している。

まず、答申でも指摘された「事業採算性」に関する課題だ。

累積資金収支が黒字転換するのは開業から22~31年後、費用便益比(B/C)は計算期間30年で0.8~1.0とされた。報告書では事業採算性や社会的意義はあるとするが、前提となる人口増や輸送需要の推計は妥当なのか。鉄道整備スキームをどうするのか。

また、関係機関との調整も手つかずだ。

ルートには、中央区だけでなく、豊洲・有明地区を抱える江東区も含まれている。だが、江東区役所は調査委員会に参加していない。同区では8号線分岐線(有楽町線豊洲駅~半蔵門線住吉駅)の実現が最優先課題であり、区民の関心の薄い臨海地域地下鉄に割く余力はない。

つくばエクスプレスとの乗り入れ案はどうか。

当初、中央区は想定していなかったアイデアだ。茨城県庁は、秋葉原から東京駅付近までの延伸を切望している。都営浅草線バイパス構想の都心直結線(押上~新東京~泉岳寺)と同時施工し、東京駅の丸の内側地下の「新東京駅」に乗り入れる構想を持っており、国交省などに要望してきた。答申で示された臨海地域地下鉄と乗り入れとなると、八重洲側に新駅をつくるのが自然だ。県庁職員が一度、中央区役所に訪れたことはあるようだが、相互が連携をとるのはまだ先だ。

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