日銀新総裁、有力なのは誰か? 金融緩和への期待が高まる一方だが…
当時、反対を突き通した民主党だが、5日に公表した日銀人事の同意に対する複数の条件の中に、財務省OBをNGとする項目はなかった。
みんなの党は明確にそれを否定しているが、麻生財務相は「能力のある人。出自は問わない」と述べている。民主党の意向次第で、財務省出身者が候補者として提示される可能性は少なからずある。
一方、武藤氏と同時期に日銀副総裁を務めた岩田一政氏も有力視される一人だ。06年に日銀がゼロ金利を解除し、07年に一段の利上げを決めた際、「物価上昇率の先行きに不透明感が強い」として、政策委員の中でただ一人、反対票を投じた。
安倍首相の政策ブレーンである浜田宏一イェール大学名誉教授は、近著の中で次期総裁候補を複数名挙げている。中でも岩田氏に対しては、「正しい金融の論理に基づいて少数票を投じるたいへん貴重な存在」「体制のなかから改革できる人だと期待している」と、具体的かつ評価が高い。また、英語が堪能なことでも知られる。一方、金融業界から「本命では」との声がある竹中平蔵氏は昨年、「何%かの物価目標を実現するという枠組みが作られるのであれば、総裁の人選は大きな意味を持たないのかもしれない」と話していた。
政策連携の相手に誰を選ぶか。少なくとも2度目の総裁空席という事態はあってはならない。期待先行で進むアベノミクスの第一関門が迫っている。
(撮影:尾形文繁) (週刊東洋経済2013年2月16日号)
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