日銀新総裁、有力なのは誰か?

金融緩和への期待が高まる一方だが…

期待を膨らませる市場

任期のズレを修正するため、前倒しで辞めるといえばそれまでだ。が、デフレと円高の脱却を大目標に掲げる安倍政権下、金融政策に対する政府からのプレッシャーは止めどなく、日銀を取り巻く境遇は穏やかでない。ある日銀OBは「任期が残りわずかとはいえ、白川さんは安倍政権の下で就く新副総裁と金融政策運営を行うのは難しいと考えたのだろう」と見る。日銀内からは、驚きとともに「次の総裁は誰になるのか」という声は当然出てくる。

市場は一方的に期待を膨らませている。辞任表明の翌日、為替相場では円安がさらに進み、うなぎ上りの株価は、ついにリーマンショック後の高値を更新した。新体制によるさらなる金融緩和を期待した動きであることは明らかだ。

総裁と副総裁の二人が同じタイミングで入れ替わる仕組みになったのは、1998年の新日銀法施行以後のこと。当初、同時交代は業務の連続性で問題があるのではないかという見方が日銀の内外でもあった。

デフレ脱却に向けて「大胆な金融緩和をしてください」と日銀に迫る安倍政権にすれば、同時交代は体制刷新をアピールする好機ととらえているはずだ。

ただし、日銀の総裁、副総裁人事は、衆参両院の同意を得る必要があり、首相のお気に入りの布陣にできるわけでもない。最大のネックは衆院選で単独過半数を獲得したが、参院では自民党と公明党を合わせても、過半数の議席に満たないこと。人事案可決には野党の意向をないがしろにできない。2月中にも政府から候補者が提示されるとみられ、人選は最終局面にさしかかっている。

財務省OBを提示か

では、次の総裁は誰が有力か。1月の会見で、総裁の資質を問われた麻生太郎財務相は「組織をあまり動かしたことのない人がやるのは危ない感じがする」と述べていることから、学者が選ばれる線は薄い。

逆に、組織を知っているという点からすれば、2005年から第8代のアジア開発銀行総裁に就いている黒田東彦氏が挙げられる。財務省OBの黒田氏は、旧大蔵省入省後、英オックスフォード大学で経済学修士課程を修了。財務官時代には、国際金融に関する会議で財務省の代表を務めていた。

同じく財務省OBで候補者として取りざたされる武藤敏郎氏は、08年の福井俊彦総裁の後任として自民党政権が人事案を示した人物。だが、財務省出身であることを理由に民主党から反対され、否決された。

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