「脱・偏差値」で広がる新型ストレスの正体

受験環境にもマインドフルネスが必要だ

「やりたいことをやりなさい」と言われ、それを見つけるとしたら、結構大変だ。やりたいことがない人は、いつまでも進路を決められないということにもなりかねない。

こうした中で重要になるのは、やりたいことの見つけ方、自分の将来像の描き方、進路発見のプロセスを彼らに提示することだ。それは簡単なことではないが、ひとつの解決策となるのがマインドフルネスではないかと筆者は考えている。

進路発見のためのマインドフルネス

マーフィ重松教授はワークショップの中で、スティーブ・ジョブズが生前にスタンフォード大学の卒業生に向けて行った有名なスピーチの言葉を引用した。

「心や直感に従う勇気を持て。心や直感は、あなたが本当は何になりたいかを知っている。他のことは二の次で良い」

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マインドフルネスとは、まさに自分の心・直感と向き合う技法なのだ。そして、その結果、自分が何者なのか、何を求めているのかを見いだすことができる。実際、ワークショップを終えた後、学生たちの感想はこのようなものだった。

「私はよくネガティブになる。自分の存在意義を考えることがよくある。人生にとって私は必要ないと考えていたが、そんなことはない。自分が何に対して価値を見いだせるかを考え始めた」(高3女子)

「普段、僕は何かをやるにあたって“自分はこの程度だから”と妥協してしまう。だけどワークショップを受けて、少し難しそうでも、自分が本当にやりたいと感じるならやるべきだとわかった」(高2男子)

「将来自分がこうしたいという目標像がはっきりした。その自分が将来したいことのために、今自分がやるべき身近なことからやっていこうと思った」(高2女子)

「自分は周りに流されて、本当の自分が何かを見失いかけていたが、自分の心の声に耳を傾けていこうと思った」(高2女子)

マインドフルネスには進路発見の力がある。やりたいことが見つからないと思い悩んでいる学生たちにとって、大きな助けとなるはずだ。

これから日本の教育現場はアクティブラーニングが主体となる。そうなれば、前回の記事に書いたとおり、学生たちは自分のビジョンが求められるようになる。マインドフルネスは、そのための支えともなるだろう。また、マインドフルネスを実践すると、人が共感、思いやり、親切心によってつながっていることがわかるようになっていくとも言われる。つまり、学生と教員、学生と保護者、あるいは学生同士の向き合い方を変える効果が期待できるということだ。

これから教育改革を実行するにあたっては、マインドフルネスを基盤に据えた教育を考えるべきではないだろうか。

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