「脱・偏差値」で広がる新型ストレスの正体 受験環境にもマインドフルネスが必要だ
普段、私たちは過去や未来のことばかりにとらわれて、頭がいっぱいになっている。そこで、意識を今現在にだけ向ける。そうすることで、自分の心と向き合うことにつながるのだ。
マインドフルネスというと、宗教的な「瞑想」をイメージする人も多そうだが、実はそうではない。
欧米ではGoogleが採用したことで一躍脚光を浴び、浸透が進んでいる。幸福と健康の増進効果に加え、効率性の向上も期待され、医療、ビジネス、スポーツなど、さまざまな分野で取り入れられているのだ。
ビジネスの世界では一般に知られるようになったマインドフルネスだが、教育界ではまだまだ認知されていない。しかし、実は教育の世界にこそマインドフルネスが必要だと筆者は考えている。そこで今、マーフィ重松教授と一緒に日本でもマインドフルネスを広げる活動もしている。
欧米エリート学生が陥る過酷な精神状態
米国の大学で問題視されている調査結果がある。
「スタンフォード生は、世界一かっこいい学生に見える。しかし、その輝きの裏には、血のにじむような努力がある。その重圧に押し潰されまいと必死だ」
マーフィ重松教授は米国エリート学生たちが苦悩していると言う。そして、その姿を「ダックシンドローム」という言葉で表現する。水面を優雅に泳ぐアヒルは、溺れないように水中では懸命に足を動かしているという意味だ。
UCLA Higher Education Instituteが全米の約12万人の大学生に対して行った調査によると、「大学で何を学びたいか? 何に興味があるか?」という質問に対し、76%の学生が「人生の意味や目的を探したい」と回答した。
ところが、そんなことはお構いなしに、大学からは大量の情報と課題が与えられ、学生たちはそれらを確実にこなさなければ取り残されてしまう。「エリートたちは、目的が見つからないまま、ただ目の前のことに必死になるしかないのだ」とマーフィ重松教授は語った。
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