東京人が知らない「私鉄王国・関西」の超魅力 度肝を抜く個性派車両が勢ぞろい!

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東京で言えば、小田急線が120.5キロ(小田原線82.5キロ、江ノ島線27.4キロ、多摩線10.6キロ)。もう少し長い西武線でも176.6キロ(旅客営業キロ)。いやいやいや忘れてませんてば、と東武線を見ると463.3キロ(東武本線と東武東上線)(以上、東京については素人によるネット調べです)。はい、東武も負けました~。って東武も結構すごくて駅数は205駅(旅客駅は203)だそう。ちなみに近鉄は286駅……。

線路を整備して、毎日駅で乗客を迎え、運転手が電車を走らせる。その日常が奇跡にさえ思えて来るこの距離と駅数だ。

と、少し気が緩むと隘路に迷い込むのが電車道のこわいところ。本線に戻ろう。近鉄だ。一度でもたとえば、奈良の橿原神宮などに遠出をしたことがある人はわかるだろうけれど、「どの列車に乗ればいいの?」という以上に、もはや「どこに連れて行かれるの?」と思わせる行き先の多面展開ぶりは圧巻。定期利用率が他の電車に比べて高いこと、見知らぬ地名が多いこと(駅数が多いからかな……)、そのほか華麗な特急の進化やデラックスに贅を尽くすリニューアルなどの詳細が語られる。ユニークなジャンクション、橿原神宮前の台車交換、「優しい」連結の方法論、カオス状態の車番、乗降客1日ひとりの駅……このディテールにわくわくすること間違い無し。書いているとキリがないのであとは読んでください。

関西ならではのコミュニケーション術

関西流なのか近鉄流なのか、いくつか「だからこそ」のコミュニケーション術があるというのも面白い。関東では、「お客様にお願いします」と注意喚起を始めるが、関西では「みなさん」で始めるのだとか。「Attention please」と「Ladies and gentlemen」の違いのようなもの……ってそうなのか(笑)。東の「急行 橿原神宮前ゆき」に対して西の「橿原神宮前ゆき急行」などなど、目からうろこである。

近鉄以外の電車もそうなのか、関西では時刻表もちょっと違う。時間を縦軸にとるのが関東流、横軸にとるのが関西流だ。パソコン画面でつくりやすいのは関東流だからか、最近は彼の地でも旗色が悪いらしいが、旅情があふれてくるのは関西流だ。写真は、今年の5月に、旅気分で私が撮影したもの。

近鉄電車、鳥羽駅ホームの「観光特急しまかぜ」の時刻表
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