「株価は景気に先行する」はあてにならない 儲けたいなら株価と企業業績の秘密を知れ
株式市場全体の動きを決定する第一の要因は企業業績です。利益の源は売上高にあるわけですが、前年度から売上高はマイナス基調に落ち込んでいます。資本金10億円以上の企業の売上高の伸びをチェックしてみると、
(売上高の伸び) 15年度
4~6 ▲0.2% 7~9 ▲1.9% 10~12 ▲5.8% 1~3 ▲6.5%
15年度はすべての四半期で、前年同期比で売上高は減収になっており、期を追うごとに減収率は拡大しています。足元では輸出額のマイナスが続き、個人消費が回復せず、設備投資も機械受注から判断する限り、ジリ貧です。売上高が増える見通しは立っていません。
日銀が発表した6月の企業物価は前年同月に比べ4.2%下落しました。企業物価指数は2015年4月から1年3カ月連続で前年同月を下回っています。これは、企業が取り引きする物価の大幅な下落が続いていることになり、上記した2015年度の売上高の減少と整合的です。16年度中に売上高が増加に転じる見通しは立っていません。
減益は円高だけが理由ではない
昨年(7~9)期以降の経常利益の伸び率とドル円相場の騰落幅を前年同期比でみたのが下記です。
(7~9) (10~12) (1~3) (4~6)
経常利益 + 5.7% ▲11.4% ▲18.7% 今週以降
ドル円 +18.4円 + 7.0円 ▲ 3.8円 ▲13.4円
ここで注目していただきたいのは昨年(10~12)期に前年同期比で7円の円安を維持していながら、減益に転じてしまったことです。企業業績は多くの要因の複合体ですから、短絡的には言えません。足元での業績悪化の主因は円高であることは疑いようがありませんが、他の要因もあるということには注意を払いたいと思います。
輸出が前年同月比で昨年10月以降減少に転じていることが(10~12)期が減益に転じた要因の一つであることは事実だろうと思います。2015年度のドル円相場の平均は120.10円です。2016年度について未だに増益見通しが主流ですが、その見通し達成にはかなり厳しいものがあることは明らかです。
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