「株価は景気に先行する」はあてにならない 儲けたいなら株価と企業業績の秘密を知れ
私はこれまで「株価は景気に先行する」、「株価には先見性がある」と学んでもきましたし、信じてもきました。しかし、2015年度の1年間を通して、株価と企業業績の動きをチェックしてみると、必ずしも株価が先見しているという事実は感じ取れませんでした。
利益も景気の先行指標といわれます。企業は利益を稼ぎ、その稼ぎで雇用を増やし、賃上げもし、投資を増やし、景気を温める役割を担います。結果として利益は景気に先行します。株価の先見性と合わせて考えるなら、利益と株価はほぼ一致して動き、予想利益と株価で算出するPER(株価収益率)が投資指標として意味を持つことになります。しかし足元の市場では微妙に狂いが生じているようです。
株価は利益の変化に1四半期遅れる
下記は日経平均株価と、経常利益の四半期ベースの変化率(前年同期比)を見たものです。経常利益は「法人企業統計季報」のほとんどが上場会社と思われる資本金10億円以上の企業の値を使用しています。
(2015年度) 経常利益 平均株価
04~06 +24.2% 07~09 +25.2%
07~09 + 5.7 10~12 +14.3
10~12 ▲11.4 01~03 ▲ 7.6
01~03 ▲18.7 04~06 ▲18.3
上記では経常利益と平均株価の変化率をわざと1四半期ずらしています。例えば、(01~03)期の経常利益が前年同期比で18.7%の減益で、株価は1四半期ずらした(04~06)期に18.3%下落しました。上記をもう一度見ていただくとわかるように、経常利益の変化に株価の変化が1四半期ズレていることは明らかです。言葉を換えれば、業績・利益を確認してから株価が遅れて動いていることになります。もしこのような動きが続くなら、株価の先見性は疑ってかからなければならなくなります。
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