クーデター失敗でも、日本株は下落の可能性 地政学リスクが再燃、一時的な円高が進行も
日本時間16日の午前5時前、「トルコで軍事クーデターが発生」という一報が市場に伝わった。NY株式市場は、取引終了直前の時間帯だったことからほとんど織り込むことはできなかった。
為替は一気に円高へ、シカゴは1万6385円まで下落
だが、為替市場の反応は早かった。ドル円相場は104円80銭台、ユーロ・円は115円70銭台まで円高が進んだ。
週末のドル円は106円32銭、ユーロ円は118円40銭までそれぞれ円安が進行していた。「10兆円規模の経済対策」や「ヘリコプターマネー」などを背景に、ドル売りポジションの巻き戻しが加速しドル円は週間で5円円安に振れたが、円安基調に水を差された格好だ。シカゴの円建てCME先物は日本時間16日午前5時49分には15日の日中終値比175円安の1万6385円まで下落している。
トルコの軍事クーデターの状況に関して続々と伝わっているが、休暇中だったエルドアン大統領は「依然として権力を握っており、軍の最高司令官は私だ」と語り、国民に街頭や広場に出て抗議するように求めた。その後、大統領は記者会見で「クーデターを鎮圧した」と伝えられており、ユルドゥルム首相も「状況は落ち着きつつある」とコメントしている。ただ状況は、なお極めて緊迫している。
今回の一件が市場に与えるインパクトは、どうなるか。
週明けの18日月曜日、日本は海の日で祝日のため株式市場は休場だが、為替市場は、オセアニア市場が朝方にスタートする。FX取引をしている個人投資家の方はご存知だろうが、月曜日のオセアニア市場は薄商いで値段が非常に飛びやすい。
もちろん、土日の間に混乱が収束されれば問題ない。だが地政学リスクが意識されて、リスク回避の円買いが強まる可能性も残されている。一報が伝わった後、為替の取引ができたのは僅か1時間ほどだ。ニューヨーク時間で織り込めなかった売買は、月曜日のオセアニア市場にぶつけられると見る。
薄商いのなか値が飛ぶことを考慮すると、ドル円は103円台に突入する可能性もあるかもしれない。そして、為替の円安進行が止まると、日経平均は上昇の原動力が削がれることから、株は売られる。日経平均が、上値抵抗ラインとして機能していた26週移動平均線(1万6397円)を再び割り込んで跳ね返される格好となれば、せっかく熱を帯びてきた投資マインドは再び冷え込むかもしれない。
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