帝国ホテル、都心観光ブームで上向く 東京駅改装、スカイツリーも追い風

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物販についても、東京駅内の直営菓子ショップで売っている丸の内駅舎を外箱にあしらった東京駅限定品の「開業記念チョコレート」(写真)が、ホテル内ショップで売られている通常品を上回るほどの人気を博している。

一方で、旅行会社やインターネット経由の客室販売による値引きを抑制したことで採算も改善した。全館の節電対策を継続するといった経費節減により、震災後に一時的に減らした人件費などの復元をこなし、営業大幅増益となる。

第4四半期(13年1~3月)については、宿泊の閑散期に当たることや、設備改修など積み残しの工事が増えることもあり、会社側は利益トントンを計画している。ただ、第3四半期までの9カ月間で、すでに会社が見込んでいた通期の営業利益計画(32億円)をクリアしてしまったので、さらに若干の利益上乗せは期待できそうだと東洋経済では見ている。また、前期に計上した退職給付制度改定特損12億円弱がなくなるため、純利益も膨らみそうだ。

関東大震災に耐えた「ライト館」90周年など控える

来14年3月期も業績が大きく崩れる可能性は薄い。IMF特需の反動が懸念されるが、総会期間中のレストラン部門は一般客が閑古鳥で前年同期比では売り上げが減っていたことなどもあり、影響にはプラス・マイナス両面がある。東京駅内の菓子ショップは12年10月開店のため、年度前半(13年4~9月)は上乗せ効果が続きそう。

帝国ホテルにとって13年は“記念イヤー・ラッシュ”となる点も注目される。

フランク・ロイド・ライトの設計で1923年夏に完成した旧ホテル本館「ライト館」は、落成記念式典の9月1日当日が関東大震災と重なった。周辺の木造家屋が軒並み焼け焦げた中で損壊をまぬがれたライト館は、被災者に炊き出しを配ったり、メディアの国内外への震災情報発信の拠点として活躍した。

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