アイリスオーヤマ、来春「白物家電」に参入へ 東洋経済の取材に大山社長が初めて明かした

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しかし、ここ数年、家電を巡っては国内メーカーの撤退や売却が相次いでいる。2008年に三菱電機が洗濯機から撤退。2012年にも、パナソニックが旧三洋電機の白モノ家電事業を中国のハイアールに売却している。さらに、東芝も2016年6月、中国の美的集団に白モノ家電事業を売却した。シャープも台湾の鴻海精密工業の傘下に入ることが決まっており、日本企業として白モノを総合展開するのはパナソニックと日立製作所になってしまった。

アイリスが、国内メーカーの撤退が相次ぐ家電事業に力を入れるのはなぜだろうか。理由は大きく2つある。

1つは、雇用の受け皿を作るためだ。大山社長は「一時期、韓国や中国メーカーに(大手電機メーカーの技術者が)スカウトされた。中国でモノを作るのはよい。だが、技術は日本で持つべきだ」と話す。有能な技術者を自社で活かしていきたい、という強い思いがあるようだ。

2つ目に、現在の家電製品の値段が高いことだ。大山社長は「大手メーカーは4人家族のイメージで家電を作っている」と指摘する。単身世帯や夫婦二人の世帯が増える中、4人家族向けの高付加価値製品が多すぎるということだ。

「かゆいところに手が届く」製品を出せるか?

アイリスは現在、ふとんクリーナーなどを精力的に販売している。製品ラインナップは低価格のものが中心だ

アイリスは年間1000を超える新製品を世に送り出している。だからこそ、これまで大手メーカーが考えもしなかったアイデアで需要を発掘すれば、消費者の支持を得られると判断したようだ。

もちろん、パナソニックや日立製作所の背中は遠い。だが、値ごろ感があり「かゆいところに手が届く」ような製品を開発できれば、消費者の需要を開拓できる可能性はあるだろう。

家電メーカーの再編が進み、消費者が選べる商品は徐々に減っている。新規参入によって、量販店の白モノ売り場は面白くなっていきそうだ。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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