証拠が救世主に!使える「浮気LINE」の残し方 スキルがなくても、有効な証拠集めはできる
――そのようなやり取りを見つけたら、どうやって残しておけばよいのでしょうか?
<ポイント2:なるべく改ざんを疑われないような残し方をする>ですね。まずLINEは、デジタルデータです。以前は「デジタルデータは改ざんされやすいので、証拠としての価値が低い」とされていました。しかし近年は、デジタルデータの証拠が増えてきていますので、昔ほど厳しくはありません。そうであっても、改ざんされたものであると言われにくい形で証拠を残しておくことが望ましいです。
この点を重視すると、LINEのやりとりをご自身の携帯に転送するのではなく、LINEのやりとりが表示されている夫のスマホそのものを、写真撮影しておくのが良いと思います。できれば、そのスマホが夫の携帯であることが分かるよう、携帯番号が表示されているプロフィール画面も撮っておくとよいです。
また、LINEは、やりとりが多くすべてを写真撮影で証拠として残す余裕がない場合もあると思います。そのようなときには、LINEには一括ダウンロード機能があります(2016年6月現在)。この機能でトーク内容をダウンロードしておけば、相手とのやり取り全てをタイムスタンプ(日付・時間)付きで、テキストファイルで残せますので有効だと思います。
削除されてしまっても、諦める必要はない
――こうした証拠をとれたとしても、相手がLINEのIDやトーク履歴を削除してしまった場合はどうなりますか?
削除のタイミングによっては、それもまた証拠になります。削除されてしまうと、撮影した画像のIDが相手のものである証拠がなくなり、不安に思われるかもしれません。しかし実際の裁判では、本人性が最後まで問題になることは少ない印象です。本人同士の協議ならともかく、調停、裁判と進んでくると、他の証拠と矛盾なく白を切りとおすのは難しいものです。
特に離婚訴訟まで争われた場合、トークの内容が双方の争いのない事実と矛盾がないか、他の証拠と整合しているか、内容が改ざんされたものである可能性の高低等から裁判所が判断することになります。IDやトーク履歴を削除されたということだけで、諦める必要はありません。
――夫のスマホを勝手に操作して、勝手にLINEのトーク内容を見たり、それを写真に撮ったりすることは、プライバシーの侵害や不正アクセスに当たらないのでしょうか?
<ポイント3:プライバシー侵害や不正アクセス禁止法に抵触しないように気を付ける>には、細心の注意を払う必要があります。プライバシー侵害や不正アクセスに当たるような証拠の集め方をしてしまうと、その証拠が採用されないばかりか、最悪の場合は相手方から訴えられる危険性もあるからです。不正アクセスについては、刑事罰もあり得ます。
まず、プライバシーの侵害については、夫婦といえども無断で他人の携帯を見れば侵害になります。そのようなプライバシーの侵害をして見つけた証拠であっても、民事訴訟においては、一律に証拠として使ってもらえない訳ではありませんが、まれに証拠として使ってもらえなかったケースもあるようです。