違法民泊撲滅に動き出した京都市の「本気度」 蔓延する住民の不安を解消できるか

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こうした民泊施設は、周囲に開設の挨拶などがなければ、前触れもなく突然出現する。所在地については、サイト内で登録して外観はサイトにアップされているから、おおよその物件までは特定できる。しかし、マンションであれば、何号室で行われているかといった詳細な情報は把握することができない。 調査でも、所在地を特定できた施設は、1260件(46.6%)にとどまった。「大部分についてはどこで民泊がされているか、実態を捉えることができなかったのが、この調査結果」(糟谷氏)だという。

民泊仲介プラットフォームを運営する会社には、サイトの記載情報から違法と推測される物件について、所在地を公開するよう要請しているが、なかなか迅速な対応はしてもらえないのが実情だという。そうなると、「草の根」から情報を集めるしかない。そこで、京都市は民泊に関する市民からの通報を、積極的に集める体制を整え、「民泊通報・相談窓口」を13日に開設した。

職員が駆けつける態勢も整える

近所の民泊施設が旅館業の許可を取得しているのかを確認したり、無許可で民泊をしているところがあれば、許可を取得する指導を要請することもできる。合わせて、民泊を適法に行う上での旅館業の許可申請の手続きの問い合わせなど、運営者向けの情報提供も行っていくという。

「木造家屋での違法民泊は、重大な危険につながる可能性が高く、事前に対処する必要がある。運営者に対する指導だけにとどまらず、火事の危険性がある場合など、人の命に関わる緊急性があれば、通報後に職員がすぐ駆けつける態勢も整える」(山口薫・宿泊環境整備課長)

行政が民泊について統一した総合窓口を設置することは、全国でも例がないという。周辺住民が、運営者からの説明や問い合わせ先の開示を受けていない場合は、トラブル時に苦情を伝える先がないため、宿泊客本人に直接訴えるか、警察に通報するしかなかった。市が全面的に前に出ることで、不安の解消につながる可能性は高い。

野放しにされている「違法民泊」に対する京都市の取り組みは、今後制定が予定されている民泊新法のあり方にも、大きな影響を与えるだろう。


次回は、京都市の糟谷観光政策監のインタビュー。業界最大手Airbnb社の対応や、国が進める民泊新法の問題点について聞いた。

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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