客足が絶えない名物商店街の「尖った思想」 チェーン店を蹴散らす「すごい個性」
企業から協賛金など資金を集めてきて、盛り上げようとする商店街もあるが、しかし、それにも限界はあるだろう。
その点、商店街では行政主導でも企業主導でもなく、35年間続いている取り組みがある。販促の一貫として、商店街主導で実施している「ギャルみこし」というイベントだ。日本三大祭りのひとつ、「天神祭」をPRするみこしの担ぎ手の女性を同商店街が一般公募し、認知度向上とイメージ戦略につなげている。
また、同商店街では目下、新たなビジネスモデルも実験している。商店街近くに本社を置く英会話スクールECCと協力しての観光案内事業だ。
これは、ECCの授業の一貫として、同商店街の名前入りブルゾンを着た生徒たちが外国人観光客をガイドするというもの。ブルゾンや旅行案内のシステム作りは商店街の負担というが、SNS全盛の時代ゆえに観光地としての側面を外にPRしていきたいという狙いが込められている。
そのことが本来の収入源であるテナント誘致や、商店街内の看板や広告物の価値を高めることにつながっていく。事実、天神橋筋商店街には大手企業から共同で「企画を考えて地域活性化につなげよう」というたぐいのオファーが増えているという。
先述したような価格競争もあり、個々で見ると十分な収益を得ている店舗は少ない。取材で店をまわった際にも、「安さがこの商店街のよさではあるけど、それを求めて天神橋に来るお客様が大半。体力のあるところはいいけれど、安さに特化した出店者も増え、私たちのような小さなお店には厳しい状況が続いている」という声も聞かれた。
「毒舌コピー」で盛り上がる
一方、行政や民間企業とうまく連携をとり、成功した商店街がある。天王寺からひと駅南に下った場所に位置する、文の里(ふみのさと)商店街。
地下鉄御堂筋線「昭和町駅」を下車すると、どこか懐かしさ漂う下町のアーケードが広がっている。昭和25年に設立された、一見するとどこにでもありそうな商店街というのが第一印象。そんな印象は、数分歩くだけで激変する。
「買わんでええから見にきてや」
「アホにつける薬はあらへん」
「当店は、基本的に、町内インサイダー取引です」
挑発的なキャッチコピーに奇抜なデザインがマッチした、各店のポスターに目を奪われる。
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