札幌出張者も高評価!新千歳空港鉄道の実力 速さと本数の多さで人気だが指定席に課題も

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uシートの座席。ネット予約で座席表での指定はできない(筆者撮影)

札幌市内中心部と新千歳空港の主なアクセス手段は、快速エアポートと高速バスのいずれかとなるが、最近では5月28日~30日までの3日間、JRの運行システムに障害が発生し、列車に運休や遅れなどの影響が出て混乱した。

筆者が利用した5月30日も途中駅でのシステム障害があり、運転は再開していたが、1時間の4本のうち2本が快速エアポート、2本が各駅停車での運転に変更され、通常よりも時間を要していた。ビジネス需要が多い空港アクセスであることを考えると、定時性の確保は最重要課題となる。

また指定席「uシート」が3月26日より310円から520円に値上げされたが、特に大きなサービス向上はない。520円への値上げは、JR北海道が時期による変動制だった特急指定席料金を、年間を通して一律「通常期」の520円に変更したのに合わせ、快速エアポートの指定席券も同じ料金設定にしたためだ。

ネット予約はもっと機能充実を

値上げするのであれば、その分をインターネット上での指定席予約の機能の向上などにも力を注いでほしいと思うところである。現在のJR北海道ホームページにおける快速エアポートの指定席予約は、乗車券とセットの場合のみに限られており、指定席券のみの予約は不可になっている。

また、JR東日本「えきねっと」やJR東海「エクスプレス予約」などほかのJR各社のネット予約では、指定席券は座席表から好きな座席を選んで予約できるようになっているが、JR北海道の場合は指定可能なのは属性(窓側・通路側)のみで、駅で指定席券交換するまでは座席番号もわからない状態が続いている。特に札幌駅発においては、直近列車の指定席が売り切れのことも多い。ネットでの予約機能が拡張され、札幌駅へ向かう途中で気軽に予約し、チケットレスで利用できるようになればもっと便利になると思う。

新千歳空港は国内線だけでなく、韓国、台湾、中国、タイ、シンガポール、マレーシアなどからの国際線の便が増えており、国際線ターミナルも活気があふれている。最近では相次ぐLCC(格安航空会社)の就航で個人旅行客の増加が進んでおり、快速エアポートの車内でも外国人が多く見られ、普通車が座れないこともある。南千歳―新千歳空港間が単線という問題もあるが、さらに利用者が増えれば将来的に1時間4本から1時間5本に増やし、12分間隔にすることも検討の余地があるだろう。今後に期待したいところである。

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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