絶好調!韓国プロ野球「強さ」と「人気」のワケ 多くの観客を集める秘訣を専門家に聞いた

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――成功した日本人コーチはいますか。

現在、千葉ロッテマリーンズで投手コーチをしている落合英二さんは、韓国でも高い評価を受けたコーチの1人です。日本人コーチが韓国で成功する秘訣には3つあると思います。まず、監督が日本人コーチの立場ややり方を守ってくれるかどうか。それは、日本人コーチはどうしても給料が高くなりますから、ねたみややっかみが出て来るし、そのコーチが来たためにその職を追われた人もいるわけです。そのため、「ピッチング部門はこの人に任せるんだよ」と監督が全員にはっきりと明示しないと、日本人コーチがいくら教えても、選手たちは自分の国のコーチの話しか聞かなくなってしまいます。

次に、日本人コーチが自分のやり方を押し付けないことです。日本から来るコーチは実績もありますし、日本の野球の方が上だという自負もあります。そこで「オレのやり方はこうだ」「日本ではこうなんだ」と押し付ける人はダメですね。

3つ目は、コミュニケーションです。正直、韓国人と付き合うと腹が立つことも多いと思うんです。たとえば、日本と比べたら時間にルーズです。

そこで日本と比較せず、また選手だけでなく、コーチやスタッフの人たちとも上手にコミュニケーションを取っている人が成功しています。前出の落合さんは、中日ドラゴンズで一緒にやっていたソン・ドンヨルさんがサムスンで監督をされていた時にコーチに就任しました。ソンさんが辞めた後も、一緒にやっていた守備コーチが監督になり、「ピッチャーのことは任せるから一緒にやろうよ」と落合さんを引き留めたので、監督が守ってくれていました。そして落合さん自身も「郷に入っては郷に従え」との考えでやっていましたので、結果もついてきましたね。

韓国ファンの関心が薄い日本のプロ野球

――日本のプロ野球は、韓国でも人気があるのでしょうか。

イ・デホ選手がソフトバンクに在籍していた時は、ソフトバンクの試合が韓国でも中継されていましたが、現在では中継されていません。また、日本のプロ野球への関心もほとんどありません。韓国のことを知らない日本のプロ野球ファンの中には「韓国は日本を目指しているんだろう」という人もいますが、それこそ幻想であって、韓国では日本の野球にあまり関心がないですね。

韓国のポータルサイトのニュース欄を見ると、「野球」「海外野球」に分かれているんですが、その「海外野球」の中でも、話題の9割以上はメジャーリーグの話です。日本のプロ野球が話題に上がることはほぼありません。しかし、大谷翔平選手は注目されています。あんな選手は他にいないですからね。

――韓国プロ野球は今後、どのような姿を見せてくれるでしょうか。

KBOリーグは今年から、中国リーグ(CBL)と提携を始めました。中国は距離も近いし人口も多いので、中国の観光客に韓国のプロ野球を見に来てもらえるように動いています。中国では野球の人気は高くありませんが、韓国のスタジアムはボールパーク化が進んでいるので、たとえば「野球場でチキンを食べながらビールを飲もう」とアピールして、エンターテインメントとして来て楽しんでもらおうと力を入れています。また、韓国は日本と違って放映権をリーグが一括管理しています。そこで今年からリーグ主導で北米・南米エリアへのネット中継も開始しました。韓国プロ野球は海外にも目を向けています。

カルロス矢吹 作家

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かるろすやぶき

作家。宮崎県生まれ。大学在学中よりグラストンベリーなど海外の音楽フェスティバルで働き始める。日本と海外を往復しながら、週刊誌記事の執筆やラジオ、テレビなどの構成を開始する。コンサートや美術展のプロデュースやCDの編集なども行う。著書に『アムステルダム〜芸術の街を歩く〜』など多数

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