絶好調!韓国プロ野球「強さ」と「人気」のワケ 多くの観客を集める秘訣を専門家に聞いた

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――スタジアムの中以外でも、プロ野球で日韓の差を感じるところはありますか。

まず、韓国チームは例年1月15日から海外キャンプを行います。韓国も日本と同じで選手の契約は2月1日から始まりますが、実は、選手の誰もが自主トレができるほど裕福ではありません。そのため、1月ごろから選手たちに“縛り”を掛けないと選手たちが出てこないという事情があります。かつて、年明け早々の1月4日からキャンプを行う球団もあったほどです。

仁川SK幸福ドリーム球場は世界最大の電光掲示板を備えている

また、食事の面でも日本とは違いますね。たとえば、日本では試合前のケータリングでは、おにぎりや果物程度ですが、韓国ではボリュームのある料理がズラリと並んで、選手たちは試合前でもお腹いっぱい食べています。これは考え方の違いで、どちらが正しいとは言えないのですが、日本のように体のキレを重視するのか、それとも韓国のように体を大きくしてパワーをつけるのか。ただ、メジャーリーグでは最近、日本人野手の活躍がそれほど振るわない一方で、体の大きい韓国人野手が成功しています。もしかしたら、体を大きくするというのが正解なのかもしれません。

食事の取り方から違う日韓のプロ野球

――韓国では成人男子に兵役の義務があることも、日本とは違う点ですね。野球選手にとって兵役はどのような影響を与えていますか。

韓国では19~29歳までに、おおよそ2年間の兵役に就きます。とはいえ、オリンピックで活躍してメダルを獲得する、あるいはアジア大会で金メダルとなれば、選手たちは「軍事基礎訓練」として2週間の訓練のみとなります。29歳になるギリギリまで兵役に就かずに、アジア大会の金メダルを目指して戦う選手がいることはいますが、球団のほとんどが選手の兵役開始時期を管理しているのが現状です。

韓国プロ野球には10球団ありますが、二軍は警察と軍のチームがあって12球団で運営されています。したがって、野球選手の一部は、兵役期間でも野球ができます。たとえば、主力投手の数名が数年後に入隊を控えているチームの場合、ひとまず有望な若い投手を2年間の兵役に就かせながら軍のチームでプレーさせ、兵役が終わった頃に空席が生じた一軍の先発ローテーションに入れるといったやり方をします。きちんとしたチームは特に、そのようにうまくマネージメントしています。

――韓国プロ野球には発足当時から、数多くの日本人コーチが在籍していました。現在も元・広島の正田耕三さんなど、数名がコーチとして活躍されていますが、彼らが与えた影響はやはり大きいものなのでしょうか。

韓国のリーグよりも日本のリーグの実力が上。これは韓国では誰もが認めることだと思います。では、日本人コーチが韓国野球の中でどれだけの役割を果たしたか、となると、それはそれほど大きくはないと思います。日本のメディアが日本人コーチを取り上げる際には、「この人はこれだけの影響を韓国に与えています」という取り上げ方になってしまいますが、実際にはそれほどの影響を与える役割を果たしているかといえば、決してそうではありません。

なぜ日本人コーチの数が多かったかと言えば、キム・ソングンさんという韓国野球を代表する名監督がいるんですが、その方は京都出身の在日韓国人2世です。キム監督は日本人コーチを4~5人呼んできます。それが、日本人コーチが増えた一番の理由ですね。

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