大手私鉄で「最も儲かっていない」路線は? 各社の収支を基に「営業係数」を独自試算!
阪急電鉄で目に付くのは神戸高速線の営業係数と平均通過数量との好転ぶりである。2008年度と2013年度とを比べると、営業係数は197・5から156・0へ、平均通過数量は2万5008人から4万9040人とどちらも改善著しい。
理由は2010(平成22)年10月1日に実施された新開地~西代間2・9kmの営業廃止によるもの。この区間の線路自体は神戸高速鉄道東西線西代~神戸三宮間5・7km・高速神戸~元町間1・5kmとしてもちろん存続しており、阪神電気鉄道や山陽電気鉄道は同鉄道が所有する線路で鉄道事業を行っている。
阪神電気鉄道は、阪急電鉄が一部撤退した神戸高速線で第二種鉄道事業(他社が保有する線路を使って輸送を行う事業)を続け、営業係数、平均通過数量とも大幅に伸ばした。2008年度と2013年度とを比べると、営業係数は191・8から116・2へ、平均通過数量は2万8516人から5万8077人へとどちらも急増ぶりが顕著だ。言うまでもなく、阪急電鉄が撤退した区間の旅客運輸収入の多くが同社に流入したことによるものである。
西鉄貝塚線は地下鉄とつながるか?
西日本鉄道について挙げておきたいのは、貝塚線貝塚~西鉄新宮間11・0kmの営業係数が好転したという点だ。営業係数が2008年度の218・5から2013年度の203・9へと14・6ポイント分改善されたのは、平均通過数量の上昇(2008年度の7418人から2013年度の7586人へ)の賜物にほかならない。
平均通過数量ではピンと来ないであろうから輸送人員で比較すると、2008年度は618万9000人、1日当たり1万6910人であったのに対し、2013年度は672万4000人、1日当たり1万8422人と、53万5000人、1日当たり1512人増加した。利用者の内訳を見ると、通勤定期が29万2000人増(1日当たり800人増)、通学定期が横ばい、定期外が24万3000人増(同666人増)である。
貝塚線はかつて宮地岳線と称し、2007(平成19)年4月1日に西鉄新宮~津屋崎間9・9kmが廃止されたのを機に路線名を改めた。今後、貝塚線がさらに飛躍するカギは、貝塚駅で接続する福岡市交通局2号線(箱崎線)への直通運転であろう。
乗り入れについては、2号線(箱崎線)中洲川端駅までで220億円と目される初期投資額がネックとなって福岡市は消極的な姿勢を見せている。貝塚駅を改装し、両線の電車を同一のプラットホームに発着させ、乗り換えは向かい側の電車に移動とするだけでも利便性は向上すると思われるのだが、いかがであろうか。
明日8日は、地下鉄の営業係数を独自試算して、どこが儲かっているのかを掲載する。
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