渋谷で1億円超の賃貸物件が売れまくる理由 売り手も買い手も国際化する東京の新潮流

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寝室を「寝る部屋」として閉じるのではなく、別な部屋へと簡単に移動できるようにしている(写真左側のドアを参照)

興味深いのは、渋谷の高級レジデンスのリノベーションを手がけたのが、英国の建築家エリック・パリー氏であるという点だ。故ザハ・ハディト氏とも親交があったというパリー氏は、ロンドンのシティで最も高層となる73階建ての「1 Undershaft」のコンペを勝ちとったことで知られる。現代の英国を代表する建築といっていいだろう。

ロンドンの不動産会社がイギリスの高名な建築家を起用して、東京の超高額物件のビジネスに参入する狙いは何か。

まずは、エリック・パリー氏にリノベーションのコンセプトからうかがう。

この高級レジデンスに誰が住むのか

Eric Parry(エリック・パリー)/1952年、クウェートに生まれる。1970年にニューカッスル大学へ入学、その後はRCA(ザ・ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)で建築を学ぶ。1983年にエリック・パリー・アーキテクトを設立、ロンドンのトラファルガー広場にあるセント・マーティンズ・イン・ザ・フィールズ教会の修復を手がけたことで世界的な知名度を得る。2014年にはロンドンの金融街で最も高層となる73階建て、309.6mの超高層ビル「1 Undershaft」のコンペを勝ち取った

どういった人が、どんなライフスタイルを送ることを想定してリノベーションを行ったか、という質問に、パリー氏はこう答える。

「このレジデンスを“国際的な幅広い知識と経験をお持ちの方が暮らす場所”ととらえました。世界中を旅する方が、それでもここが自分の居場所だと感じてほしいと考えながら作業を進めました。家族構成については、幅広く、柔軟に考えています」

たとえば似たようなリノベーション案件がロンドンにあったとして、渋谷とは違うやり方になるかと問うと、パリー氏は「もちろん」とうなずいた。

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