グーグル会長訪問で見えた北朝鮮のネット事情 利用される検索エンジンは1社だけ

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 韓国・米国製端末の使用は、もはや当たり前

さらにRFAは、「中国から貿易会社など北朝鮮企業と取引する際の連絡手段として、北朝鮮の国民はグーグル・メールを利用している」と明らかにし、かつてRFAが接触したことがある北朝鮮の人物も、「juche(主体、チュチェ)・・@gmail.com」(・・には人物名が入る)をつかっていた、と紹介している。

平壌市内で北朝鮮を訪れた観光客が宿泊するホテルでは、どの客室もインターネットの接続はできない。ただ、イベントなどで入国したメディア関係者に向けて、ホテルなどに設置されるプレスセンターでは、メールなどネットの利用ができる場合もある。

一方、北朝鮮の党・政府で働く公務員の中にも、限定的ながらインターネットの利用は可能な者はいる。時折、名刺には、メールアドレスが記されたものもある。ある韓国政府関係者は「平壌市内に住む一部エリート層は、自由にネットに接続できる環境にある」と述べ、「なかでもグーグルのgmail.comでメールアドレスを作成する人も少なくない」と証言する。

また、パソコンからではなく、最近では米国アップル社製の「iPad」など、タブレッド型端末から接続するケースも増加中だ。

ある韓国の北朝鮮研究者は「中国で北朝鮮関係者と会うと、北朝鮮国内用の携帯電話以外にも、サムスン電子のギャラクシーなど、スマートフォンを手にしていることが増えた」と打ち明ける。この研究者が「なぜ韓国製を持っているのか」と聞くと、大部分が「必要だから」と自然に答えて驚いた、と話す。

シュミット会長の滞在中の行動は明らかにされていないが、科学技術関連の大学を訪問するという話も出ている。

実は、2010年には北朝鮮の局長級の公務員が米カリフォルニア州にあるグーグル本社を訪問したことがある。情報鎖国の北朝鮮と世界最大の情報企業であるグーグルの「新たな出会い」が今後、何らかの変化を起こすか注目される。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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