物事をわかりやすく理解するために、「くくって象徴的に語る」ということを行うのはよくあることですが、たとえば性差をとらえて、「だからオンナは!」と言われたり、属性で「これだからワーママは」と否定的にくくられたりすることは、相手にとって決して心地よいことではないと想像がつくはずです。
世代差についても、「バブル世代」と言われると私もやっぱりいい気持ちではないですもん。「入社した時はバブルなんてはじけてたって!」と言い訳したくなりますし、「だったら何なの?」とすごみたくもなります。ひるがえって、「ゆとり世代」「さとり世代」とくくられて、否定的に語られたとき、彼ら彼女たちが、「個」を見るより強い先入観で自分たちがとらえられていると感じてしまったら、対話する前提さえ壊れてしまうのではないかと思うのです。
つまりは、やっぱり「個人差」。プラスもマイナスも個人の特徴だととらえなければ、ますます後輩育成は難しくなってしまいます。色眼鏡で見られている、ということは、簡単に感じ取られてしまうものですから。
「後輩育成が悩ましい」理由は2つある
それはそれとして話を戻します。実は、入社4、5年目くらいの若手社員の方たちと話すといつも思うのが、「後輩の育成」に思ったよりずっと全力投球しているんだなぁということです。
自分の仕事のほかに、後輩に声をかけられれば時間を取り、企画書や資料の出来栄えを確認したり、メールを送る前に必ずチェックをして敬語や言い回しに気を配ったり。さらにはプライベートの悩みで仕事に身が入らない後輩をごはんに誘ったり、温かく見守っているという話をよく聞くのです。そして、こちらの“愛”に応えてくれない後輩にどう接すればいいか、真剣に悩んでいたりします。そこまで親身に接する人の中に、自分の会社での評価に繋がるから、といった打算的な思いを持っている人なんて、私が見るかぎりはほとんどいないですね。
「後輩育成」は、多くの若手社員たちが経験するミッションで、多くが全力であたるけれどもなかなかうまくいかない……そういった状況は多いと思います。
私は個人的に、「後輩育成が悩ましい」理由は2つあると思います。ひとつは、「新人育成」というミッションは往々にして抽象度が高いこと。
後輩が配属されると、上司から「○○さん、教育担当を頼むよ。いろいろ教えてやってくれ」「ぜひ1日も早く一人前に育ててくれ」などと言われます。でも、「教育担当」としてのゴールを明確にするために、話し合いをしようとする上司はとても少ない。ざっくり「OJTでよろしくね」的に振られることもザラです。
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