安倍首相が熊本城を第一声の場に選んだ理由 「第一声」から読み解く主要政党の選挙戦略

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東口に行くと、すでに観衆で一杯だった。共産党は3年前の参院選でブームを起こし、東京選挙区で吉良佳子氏、大阪選挙区で辰巳孝太郎氏を当選させている。この時、吉良氏の「最後のお願い」が行われたのが新宿東口だった。あの時の熱気は十分に翌日の当選を予想させた。

今回も、何人もの人たちが傘をさしながら白いプラカードとブルーグリーンのプラカードを掲げていた。プラカードには「学費高すぎ」、「最低賃金時給1500円へ」、「子育てしやすい社会に」、「9条を壊すな」、「選挙で変えよう」、「給付制の奨学金を」、「ブラック企業の規制強化を」、「増税は富裕層から」などが書かれている。

志位氏の姿はまだ見えなかった。比例区から出馬する党副委員長の田村智子参院議員と東京選挙区から出馬する山添拓氏が演説する。志位氏が街宣車の上に姿を現したのは、10時半ごろだった。

「日本の命運がかかった歴史的選挙です。政治を変える絶好のチャンスが到来しました。野党が本気で結束し、市民のみなさんと心をひとつにして、1たす1が2でなくて、3にも4にもなる戦いをやり抜いて、全国32の1人区の全てで自民党を倒し、勝利を勝ち取る決意を申し上げたいと思います」

白と紺のストライプのシャツというクールビズ姿の志位氏は、小雨が降る中で聴衆に一言一言、丁寧に訴えていた。警備には制服の警官に混じって、SPの姿も見えた。国会議員の場合、一定の役職に就けばSPが付くが、共産党はこれを断っている。これも共産党の変化だろうか。いずれにしろ、予定していた第一声の場を"妨害行為"によって使えなかったことの後遺症はなさそうだ。

岡田代表は「絶対に落とせない選挙区」へ

「安倍政治の暴走を止め、政治の流れを変える。この日本に新しい政治の風を吹かせる。その第1日が今日始まりました」。民進党の岡田克也代表は22日、山梨県・甲府駅北口で行われた宮沢ゆか氏の出陣式で「第一声」を発した。その後は長野県に移動し、上田駅と松本駅で杉尾秀哉氏の街宣に参加している。

宮沢氏は輿石東参院副議長、杉尾氏は北澤俊美元防衛相の後継で、山梨選挙区と長野選挙区はいずれも1人区。民進党としては絶対に落とせない選挙区だ。自民党もこの2つを最重点選挙区に挙げており、熾烈な戦いが最後まで続きそうだ。

その他、生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎共同代表は新橋で、社民党の吉田忠智党首は新宿で第一声を挙げている。各党それぞれの思いをもって始まった第24回参院議員通常選挙は、どのような結果となるのだろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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