「アベノミクス」で個人投資家は戻ってくるか 日経平均1万円台定着の条件(1)
解散時の1万1700円台から同年末には1万6300円台へと40%近い値上がり。海外投資家はかつて「自民党をぶっ壊す」とブチ上げた小泉元首相のリーダーシップに日本の政治変革への予兆を感じ取っていた。同8月から年末までの5カ月間で、買い越し額は約6兆6000億円に達した。
一方、個人投資家は当時の同期間、約2兆2000億円と大量の売り越しを記録。今回もこれまでのところ、「売り先行」の姿勢だ。「(株価が買い値近辺まで戻ってきた時点で処分する)“ヤレヤレの売り”が膨らんでいる」(ストックボイスの岩本秀雄副社長)という。昨年11月12~16日の週からの6週間では1兆円近い売り越し。その大半は現物の売りだ。
生命保険や信託銀行など国内の機関投資家も売り越しが続く。国内勢の処分売りを海外勢が吸収した形だ。「社会保障改革による年金給付削減など国民に耳障りの悪いことも安倍首相が言えるのかどうか、年金基金などは“半信半疑”の状態」(富国生命投資顧問の櫻井祐記社長)。
60歳以上の投資家が全体の64%を占める現実
新しい自己資本比率規制「バーゼルⅢ」適用でリスク資産圧縮を迫られる銀行。健全性指標の「ソルベンシーマージン」比率を一定水準に維持するため、同じく日本株投資で制約を受けてしまう生保。加えて、事業法人の「財テク」ももはや、過去の話しだ。それだけに、株式市場の担い手として個人に寄せる市場関係者の期待は大きい。
だが、近年存在感を増しているのはむしろ外国人投資家だ。東京市場での売買代金に占めるシェアは6割を超える。これに対して、個人の同シェアは05年の38%から11年には22%弱まで低下した。
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