産業発展フェーズによって駐在員教育は変わる グローバル人事の「目」(第9回)

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代表的な調査を紹介する。異文化研究の第一人者である社会心理学者、ギアード・ホフステッドが実施した、IBMの出先がある世界50カ国を対象に、それぞれの国の文化・価値観の違いを示す要素を分析した調査がある。

この調査によると、各国の文化・価値観の違いを示す要素は対立軸になっており、(1)「権力格差の大小」、(2)「集団主義VS個人主義」、(3)「女らしさVS男らしさ」、(4)「不確実性の回避」、(5)「長期志向VS短期志向」の5つになるという。

日本と中国の文化は似通っている

日本と中国の文化・価値観の違いは、(4)の「不確実性の回避」のみで、あとは日本と中国が大きく異なる項目はなかったとなっている。日本と中国で唯一異なった「不確実性の回避」の要素は日本が高く、中国が低い。日本は厳密なルールや計画で決まっていることに安心するが、中国は現実に起きた問題に対応すればいいと考える傾向があるということを示していた。

また、アメリカの文化人類学者であるエドワード.T.ホールの調査によると「ハイコンテクスト文化(伝える努力やスキルがなくても、お互いに相手の意図を察し合うことで、何となく通じてしまう環境・文化)が最も高いのが日本、次が中国である」という結果が出ている。

このように複数の調査結果を調べていくと、多少の違いはあるが日本と中国の文化は似通っているという傾向が見えてくる。しかし、中国に派遣された駐在員が感じる文化のギャップは、欧米に負けず劣らずの激しさがあるのは事実である。それは急速な近代化、産業発展が、長年の歴史から醸成されてきた中国の持つ価値観や文化に多大なる影響を与えているからである。

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