借金2億円に負けない!村岡医師の挑戦 大震災後変わる宮城・気仙沼の医療

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

在宅患者が増えているのは、村岡医師が気仙沼市立病院などに退院促進を積極的に働き掛けていることも主因だ。現在では、市立病院の医師から村岡医師に、退院患者受け入れの相談が頻繁に来るようになっている。

もともと在宅医療や訪問看護が手薄だった気仙沼では、震災以前は病状が重くなると市立病院に入院したまま、最期を迎えるのが普通だった。それが、「震災をきっかけに住民の意識も変わってきた」と村上医師は指摘する。「終末期だからこそ、住み慣れた自宅で過ごしたいというお年寄りが増えている。この流れを絶やしたくない」(村岡医師)。

在宅医療のネットワーク確立へ、医療圏統合には課題も

村岡医師は震災後、全国から応援に駆けつけたボランティアの医師などとともに「気仙沼在宅支援プロジェクト」を結成。ライフラインの途絶で孤立した患者を探しだし、必要な医療や介護サービスにつなげる活動を半年にわたって続けてきた。その活動が呼び水となって、地域の医師や看護師、保健師、ケアマネジャーなど多職種の連携で、患者を在宅で支える取り組みが始まっている。

地域医療の中核を担う気仙沼市立病院(稼働病床数340床)でも変化が見え始めた。震災後、東北大学などからの応援を含めて医師数が10人近く増加したうえ、12年10月には震災前から不在だった麻酔科の医師が常勤で赴任した。「地域医療連携室を通じた開業医とのつながりも強化されたことで、平均在院日数も震災前の16~17日から14日程度に短縮している」(村上則行事務部長)。

市立病院は17年度に新たな場所での建て替えが決まり、総事業費194億円のうち120億円を県からの補助で賄うことになった。新病院開業に際しては、従来地域になかった回復期リハビリテーション病棟(48床)を開設する。そのための理学療法士や作業療法士の計画的な採用もスタートさせていく。

次ページそれでもなお課題は山積している
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事