LINEの売出価格2800円は高いか、安いか 収益力やビジネスモデルから妥当性を検証
LINEのリスク要素をもう1つ挙げるならば、広告やスタンプなどと並び、オンラインゲームも主要な収益の柱となっていることである。オンラインゲームの売上に占める割合は3~4割となっている。
予測が難しいゲームのヒット情況に左右されかねない
広告やスタンプはLINEがSNSとしての競争力を有する限りは安定した売上および収益が期待できるものの、ゲーム事業に関しては、当たれば売上や収益への貢献が大きいが、その分、逆もまたしかり。あれだけパズドラ(パズル・アンド・ドラゴンズ)がヒットしたガンホー・オンライン・エンターテイメントでさえ、直近の平成28年度第1四半期の決算では、売上が対前年同期比で3割、純利益は対前年同月比で4割も減少している。
一方、mixi(ミクシィ)はモンスターストライクがヒットしたことで、経営が立ち直った。ただし、パズドラと同様、いつかは人気のピークが過ぎるので、それまでに次にヒットゲームに恵まれなければ、経営は再び下を向く可能性も懸念される。
LINEの収益性も、予測が難しいゲームのヒット情況に左右されかねないと予測されるので、売上のほとんどが広告モデルであるFacebookやtwitterに比べると、株価の動向が読みにくいかもしれない。つまり、LINEゲームがヒットすれば大きく収益を押し上げるが、そうでない場合は収益の足かせになる可能性がある。LINEへの投資は、SNS銘柄としては、比較的ハイリスク・ハイリターンな部類に入るかもしれない。
最後に、ストックオプションについても触れておきたい。有価証券報告書によると、LINE社では、同社や関連会社の取締役などに2552万6000株のストックオプションが付与されている。
計算上は、IPO後の発行済株式数の約10%のストックオプションが潜在的な株式として存在していることになる。20回にわたって新株予約権が発行されているので、行使条件もさまざまであるが、最も有利な条件で発行されている新株予約権の権利行使時の払込価格は344円である。
新株予約権の行使による株式の希薄化を踏まえても、それを充分に吸収するほどの収益性を見込めるかどうかも、これからIPOに参加する投資家の検討事項の1つになる。LINEという非常に知名度のある企業が上場するわけだが、知名度だけで判断するのではなく、その株価水準の妥当性や、将来的な成長性などを投資家として分析した上で、IPOに応募したり、市場で株式を購入したりすることが重要だろう。
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