LINEの売出価格2800円は高いか、安いか 収益力やビジネスモデルから妥当性を検証
あのLINEがついに株式公開を果たす。東京証券取引所とニューヨーク証券取引所の両方から株式新規公開(IPO)の承認を取得。7月15日に日米同時上場する。想定売出価格は1株あたり2800円。これを客観的に評価できるだろうか。LINEが提出した「新規上場のための有価証券届出書」などに基づいて考えてみよう。
一般的に株価の妥当性を評価するための代表的な指標はPER(株価収益率)とPBR(純資産倍率)の2つだ。PERは「株価÷1株当たり純利益」、PBRは「株価÷1株当たり純資産」でそれぞれ算出する。それぞれ株価が「割安なのか」「割高なのか」の目安になる。
有価証券届出書に記載されたLINEの業績のうち、2月に撤退したラジオ型音楽配信サービスのMixRadio事業を除外して考える継続事業ベースで見てみると、直近四半期である2016年1~3月の純利益は14億円。単純にはいかないだろうが、これを4倍した56億円を計算根拠とする。
PERは約104倍、PBRは5.01倍
LINEの発行済み株式数は1億7499万2000株。今回のIPOで3500万株を新たに発行するので、PERやPBRの計算対象となる株式数は2億0999万2000株となる。純資産は3月末時点の192億円にIPOで調達する980億円を加えた1172億円と仮定する。するとPERは約104倍、PBRは5.01倍となった。
PBR5倍というのはIT系の新興企業では珍しくないし、限られた資本を効率よく回転させているというポジティブなとらえ方もできる。一方、PER100倍超は、IT系の新興企業として考えてみても相当に高い。一般的にはPERは20倍程度が目安とされている。
ただ、将来の成長が見込める場合は、これを超えるPER水準が正当化される場合がある。米国のFacebookも上場時の株価はPER100倍を超えていた。この点、後講釈になるかもしれないが、FacebookのPERが100倍を超えていたことは、正当化の余地がある。
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