iPhoneの進化、立ち止まってはいなかった アップルが披露した「OS戦略」の全貌

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WWDCは言うまでもなく開発者向けのイベント。そのため、発表内容についても、開発者が関与することができるアプリに関連する、ソフトウエアやその技術を中心とした内容に限られた。

iPhoneとiPad、Apple Watch、Apple TV、そしてMacという4つのカテゴリのデバイスが存在しており、それぞれiOS 10、watchOS 3、tvOS 10、macOS Sierra(シエラ)が披露され、それぞれの注目すべき最新機能が示された。

新OSではなにが変わるのか?

iOS 10では、デザインと体験の洗練を推し進め、watchOS 3はより速いアプリの起動を実現し根本的な使い勝手を高めている。またtvOS 10はケーブルテレビチャンネルのライブ放送視聴を強化することで、テレビそのものの実用性を改善した。

macOSはSiri、Apple Payや自動ロック解除、端末横断的にコピー&ペーストが利用できるユニバーサルクリップボードなど、アップルがこれまで力を入れてきたデバイス間の連携を強化し、体験の共通化を図っている。

ここからは、OS横断的に、注目すべき機能について解説していく。

新iOSのイメージ

今回の発表で筆者が最も注目し、またiPhoneやApple Watchの使い勝手を大きく変化させると感じたのが、iOS 10やwatchOS 3に実装される「インタラクティブ通知」だ。この機能によって、これまでアプリを頻繁に切り替えながら実現してきたことを、よりスムーズに実現できるようになる。

「通知」とは、メッセージを受信したり、SNSで書き込みがあった際に、画面点灯とサウンド鳴動、そしてバイブレーションによって知らせてくれる機能だ。ロック画面か、画面上部に表示される仕組みで、タップするとその新着メッセージを開くことができる。

これまでは、簡単なボタンでの反応や、1行返信などの機能を利用することができたが、iOS 10のインタラクティブ通知では、アプリを開かずに中身を詳しく確認したり、通知以降に届く情報を確認することができるようになる。

たとえば、メッセージの通知を受けて、メッセージを確認し返信するだけでなく、その続きで相手から届くメッセージを、アプリを開かずに確認して、会話を続けることもできる。また、Uberアプリでクルマを手配した際は、「まもなく到着」の通知で、クルマの現在地を示すマップを表示することができる。

アプリを開かずに必要な情報の確認や操作を実現する仕組みは、これまでアプリ単位で分断されてきたiPhone体験を、ひとつずつの小さなタスクに分割し、アプリ外でも実現できるようにする。

言い換えれば、インタラクティブ通知は、iPhoneにおける「体験の単位」を規定することになる。そして、体験の単位で、アプリが使われて行くことになる。開発者は、ロック画面やメッセージのやり取りや地図など、自分のアプリの外での活用を設計する必要が出てくるということだ。

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