故障が続出!ミャンマー走る日本の中古列車

スー・チー氏は新車両を希望、中国にも秋波

エアコンは象徴的な例だが、世界中から人権問題を理由に厳しい経済制裁を受けていたミャンマーには、十分なメンテナンス技術を習得する機会も資金もなかった。部品の不足も深刻だ。車両や設備の適切な点検や修繕ができないため、故障が起きやすく、いったん故障してしまったら修理できない。数年で故障してしまうケースが多く、2013年度の調査では、当時の日本製気動車の約半数にあたる約80両が動かない状態であることが分かった。

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広島電鉄の車両によるミャンマー初の路面電車。1月の記念式典であいさつする樋口建史・駐ミャンマー日本大使(左)

せっかくミャンマーに渡った車両が使われなくては意味がない。日本側もメンテナンス技術を教えている。JR東日本などは、車両譲渡と同時に専門家を派遣してメンテ技術のトレーニングを実施。広島電鉄もミャンマーの研修生を受け入れた。

国土交通省の外郭団体、運輸政策研究機構は昨年3月、鉄道車両メーカー、商社などと連携し、故障していた日本製の中古気動車を修理して復活させた。ミャンマー側と共同で修理することで技術移転を行うのが目的だ。国際協力機構(JICA)も保線などの技術指導を行っている。

慈善事業ではなく「ビジネス」

ミャンマー鉄道をオールジャパンの体制で後押しする日本の官民。むろん慈善事業ではない。昨年9月にヤンゴンで行われた譲渡車両の出発式に出席したJR東日本の幹部は「これはビジネスだ」と言い切る。

日本側には、ミャンマーに車両や信号などを売り込む狙いがある。30年以上にわたりミャンマーの鉄道を支援してきた高松重信・日本ミャンマー友好協会副会長は「日本の動力分散方式をミャンマーに根付かせることには大きな意味がある」と話す。

動力分散方式は、先頭の機関車が客車を引っ張るのではなく、複数の車両に動力がある方式だ。日本では主流だが欧米では一般的でなく、ミャンマーで動力分散方式が主流になれば日本の車両メーカーが有利になる。また、鉄道技術の中核である車両に動力分散式が採用されれば、信号や運行システムなどにも影響し、日本の製品を使ってもらえる可能性が広がるという。

国土交通省は、法整備や仕組みづくりなどの「ソフトインフラ」のアジアでの普及にも力を入れる。昨年8月に同省はヤンゴンでソフトインフラをテーマにセミナーを開催。JR東日本はミャンマー政府に対し、鉄道の規制作りのための専門家を派遣している。「日本と同様の規制が実施されれば、日本の製品が輸出しやすくなる」(在ミャンマー日本大使館)という狙いからだ。

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