故障が続出!ミャンマー走る日本の中古列車

スー・チー氏は新車両を希望、中国にも秋波

こうした布石は確実に実を結びつつある。環状線には60両を超える車両が新たに必要となり、ミャンマー国鉄は新車の日本製気動車を望んでいるとされる。今後整備されるヤンゴン―マンダレー線なども含めれば200~300両もの車両が発注される可能性がある。国内需要が年間1500両程度で推移している日本の車両メーカーからすれば、「非常に大きいビジネス」(鉄道コンサルタント)になる。

こうした思惑を抱きながら中古車両の譲渡を進めてきた日本の関係者に、衝撃が走る出来事があった。ミャンマーでは昨年11月の総選挙でアウン・サン・スー・チー氏(現国家顧問兼外相)率いる国民民主連盟(NLD)が地滑り的な勝利を収めて政権を担うことになった。

選挙後、日本側が中古車両の譲渡などの取り組みを説明した際、スー・チー氏は感謝の意を示しながらも、「でも、ミャンマーはいつまでも中古ばかりじゃない」と言い放ったという。中国の援助で首都ネピドーに建設された車両工場を意識した発言とみられ、ある外交官は「日本と中国を両てんびんにかけ、さらなる援助を引き出そうとしているのは明らか」と話す。

日本の強みは人脈と信頼

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分岐器の夜間工事を行うミャンマー国鉄の技術者ら(5月18日、ヤンゴン中央駅)

ミャンマーの交通インフラ整備には2030年までに数十兆円規模の資金が必要とされる一方、巨額の需要をにらんで鉄道分野でも各国の競争が激しい。中国と韓国は高速鉄道をミャンマー側に提案しているほか、フランスなども都市鉄道を売り込んでいる。

環状線の改修事業では、当初は全体を日本の円借款で整備する流れだったが、直前になって円借款は車両と信号に限定し、土木工事についてはミャンマー側が自前で整備することになった。このミャンマー側の態度の急変に、中国などの横やりを指摘する声もある。

援助合戦の様相を呈しているミャンマーのインフラ整備だが、日本の強みは現場レベルの支援で培った人脈と信頼だ。日本は1950年代、戦後賠償の第一号としてミャンマー援助を開始した。その後欧米が厳しい経済制裁を科した際にも、JICAはヤンゴンに事務所を置き続けた。

5月中旬、日本の専門家の監督で、ミャンマー国鉄によるヤンゴン中央駅の分岐器の夜間工事が行われた。取り付け方が悪いのか、うまくレールが切り替わらない。焦るミャンマー人技術者の作業を、日本側は手を出さずに見守った。ある日本人技術者は「彼らが独り立ちできる手伝いをするのが我々の仕事だ」と話す。

こうした車両の提供だけに終わらない我慢強く息の長い支援が、次のビジネスにつながろうとしている。日本は今後もミャンマーの鉄道支援を続ける予定だ。

(写真はすべて筆者撮影)

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