「円高時の減収額が大きい」200社ランキング やはり自動車大手の「目減り」は突出している

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企業は為替変動リスクを抑える努力をしているが、影響はやはり出るもの。輸出産業といえば自動車。為替インパクトはほかの企業と比べるとケタ違いに大きい(写真:まちゃー/PIXTA)

2016 年度(2016年12月期~2017年3月期が対象)の企業業績は、金融を除く全産業でマイナス1.2%の減益に陥る見通しと、冴えないものになっている。最大の要因は、歴史的な円安水準による増益を満喫してきた自動車産業が、円安の修正で大幅な減益に陥るため。自動車(輸送用機器)業界は、前期比マイナス25.5%の見通し。自動車に限らず外需依存度の高い産業は円高への反転で、おおむねマイナスの影響を受けている。

米国では、景気の減速感から6月の利上げは見送られることは確実で、状況によってはどんどん利上げが遠のくことにもなりそう。また、英国が国民投票の結果、EUを離脱するようなことになれば、欧州通貨の混乱も予想される。一方、日本では、追加の金融緩和に期待する向きは多いものの、マイナス金利の弊害も目立ってきており、日銀が円安へ再誘導する力は弱くなっている。これら内外の状況を踏まえると、今後も、円高方向に圧力がかかる可能性は高そうだ。

海外調達が多い企業は円高メリット享受も

企業業績に大きな影響を与える円高について、『会社四季報』2016年夏号での調査を基にその影響度を試算してみた。直近の海外売上高比率を今期の予想売上高に乗じて予想海外売上高を算出。これをすべて外貨建てと想定し、円が5%上昇した場合の今期予想売上高の減少額(5%円高時減収額)を計算し、ランキングした。また、その減少額の予想営業利益に対する割合(対営業利益インパクト)も試算した。コストがすべて円建ての場合は、計算上、このような減益が見込まれる。

実際には、海外売上高がすべて外貨建てとは限らず、円も通貨ごとに増減価が異なる。また、営業利益へのインパクトも、海外生産や原料の輸入など円高によるメリットもあるため、円高の利益へのマイナス影響は試算よりは薄まることになる。ただ、円高インパクトの規模感を把握する上では参考になるだろう。

ランキングのトップ3は、自動車大手3社だ。トヨタの場合、1兆円近い売上高の目減り、ホンダ、日産も5000億円前後の目減りとなる。4位のソニーは売上高の目減りはあるものの、利益面では実際には外貨建ての調達が多く、円高はむしろプラスに働くという。

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