国内本業ジリ貧の出光興産、新分野に躍起 豪社買収、メガソーラー参入など攻勢

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また、米国では10年に石油製品の卸会社を買収。今のところは米国内で調達して販売しているが、将来的には米国独自の環境規制をクリアしたうえで日本からの製品輸出も視野に入れている。

ベトナムでは製油所の建設を準備

さらに、ベトナムでは製油所の建設を目指して準備している。ベトナムやクウェートの国営石油会社、三井化学との合弁事業で、ベトナムの通貨リスクに対する懸念によって最終的な投資意思決定が当初予定の11年3月から先送りされているが、リスク対策としてのベトナム政府の協力が得られたとして、早ければ13年中にも着工し、3~4年後に稼働したい考えだ。

ベトナムでは石油製品の内需が拡大する中で同国内の製油所が1カ所しかなく、内需の半分以上を輸入に頼っているが、出光のJVによる製油所(日量20万バレル)ができれば、輸入分を置き換えることができる。需要拡大に合わせて、増産のための二期工事も視野に入れている。

今回の豪州販社買収もこうした海外強化策の一環。フリーダム社は当面、調達先において現状の契約を維持するが、将来的にはベトナムや日本の製油所からの輸入も選択肢に入れている。また、アジアでのさらなる石油製品の販社買収によって、地域ごとの価格差を利用した裁定取引を拡大する可能性も広がる見込みだ。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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