ガソリン原価の実態、不当廉売容疑で30年ぶりの立ち入り検査
ガソリンを不当廉売した疑いがあるとして、福井県のガソリンスタンド(以下、SS)運営大手ミタニと、親会社で仕入れ先の三谷商事の本社などを公正取引委員会が4月上旬に立ち入り検査したことが業界内で波紋を呼んでいる。
独占禁止法違反(不当廉売)容疑での立ち入り検査は1980年代の牛乳販売以来30年ぶり。同容疑での石油業者への任意での取り調べは少なくないが、強制捜査に至ったのは初めてだ。
独禁法では、原価を大きく下回る価格での販売を正常な競争を阻害する不当廉売として禁じている。
ミタニよりも安い看板を掲げるSSはあるが、実際にはカード会員やプリペイドカード使用に限った限定価格。一方、ミタニの販売価格は実際に近隣のSSよりも1リットル当たり10円以上安く、競合するSSからは「明らかに仕入れ原価割れの価格設定が常態化していた」(関係者)との不満の声が上がっている。
系列玉より安い業転玉
立ち入り検査の背景には、プライベートブランド(PB)のガソリンを扱う業者などとの競争が激しさを増す中、ガソリンの複雑な流通経路が一段と仕入れ原価を見えにくいものにしていることがある。
ガソリンの仕入れ原価をややこしくするのは「業転玉」の存在だ。