日の丸有機ELの憂鬱、韓国勢に太刀打ちできるのか またも国策会社構想が浮上
日本を代表する電機メーカー2社による“夢の共演”は、紙ペラ1枚のリリースでひっそりと発表されただけだった。
ソニーとパナソニックによるテレビ用の大型有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの共同開発での合意は6月25日に発表された。だが、「すべての技術を出し合うわけではない」(ソニー)、「今のまま別々の拠点で開発を続ける。特に人員の交流は考えていない」(パナソニック)と両社ともそっけない。
永遠のライバルが手を組んだ背景には、テレビ事業での日本の劣勢がある。韓国のサムスン電子とLG電子は、55型有機ELテレビを今年中に発売する予定。日本メーカーは、韓国2強にテレビ事業の世界シェア、収益性で大きく差をつけられた。次世代の大型有機ELテレビの発売でも先を越されれば、自慢の技術力での敗北も決定的になる。
韓国勢も量産には苦戦
「今年に入り、サムスンは大型有機ELパネルの生産方式を見直したようだ」と複数の関係者は口をそろえる。サムスンはすでに立ち上がっている中小型の有機ELパネル市場で世界シェア9割超を握る。ただ、大型のテレビ用の量産では苦戦。中小型とは異なる生産方式も試すなど、現在も試行錯誤が続く。サムスンとは別の生産方式を採用するLGも、基板の大型化で苦労している。
サムスン関係者は「有機ELテレビは、今年2~3台売れればいい」と打ち明ける。世界初での発売という実績作りを目的としており、売れば売るほど赤字となるからだ。