素材も耐えきれぬ"六重苦"と電機凋落 昭和電工が国内工場の抜本再編へ
自動車や電機、半導体などの幅広い分野に、さまざまな部材を供給する化学産業。日本勢は豊富な研究開発実績に基づいた技術力や、自国の最終製品メーカーとの密接な結びつきなどを武器に、これまで高い国際競争力を保ってきた。だが、その状況も変わりつつある。
石油化学、化学品、アルミニウム、ハードディスク(HD)、人造黒鉛電極、レアアースなどを幅広く手掛ける総合化学メーカー、昭和電工の市川秀夫社長(=写真=)は12月5日、東京都内で記者会見し、国内生産拠点の大胆な再編に乗り出す可能性を示唆した。
「聖域を設けずにベストロケーションを追求する」
昭和電工は同日、「本年の成果と2013年の戦略」と題した事業説明会を開催。市川社長はおよそ1時間に及ぶプレゼンテーションで、事業環境の認識や主要事業ごとの戦略などについて説明。プレゼンの最後をこう締めくくった。
「国内事業は聖域を設けず、既存の立地に縛られずにベストロケーションを追求する」。
この言葉が意味することは何か。市川社長に聞いたところ、こんな答えが返ってきた。
「当社は、小さくて多すぎる国内事業所(工場)を構えているのが弱点。聖域とせずに統廃合を考えなければならない。社内で議論をしている」。早ければ来年前半にも具体的な方針が示されそうだ。
昭和電工は関係会社を含めて、国内に17カ所の工場を持つ。2012年12月期の連結業績見通しは売上高7500億円、営業利益320億円だ。売り上げで同等規模の化学メーカーに比べると、国内事業所の数は2~3倍に相当する。100人未満で運営している小規模な工場も複数あり、再編・効率化していく余地がある。