原発廃炉で債務超過も 敦賀「クロ」判定の余波 再稼働が却下されれば廃炉濃厚に

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廃炉専業会社の道も

12年3月期末で原電の原発設備の簿価は1927億円。2号機だけで1000億円強と推測され、これが廃炉になると、純資産1655億円の大半が吹き飛ぶ。所有原発すべて廃炉なら債務超過となる。

原電は非上場会社だが、上場する電力9社と電源開発が全株式の約90%を保有、電力5社は原電から電力も購入している。特に、東京電力、関西電力、中部電力は出資比率が高いほか、関電や中部電は敦賀原発との受電契約もあり、市場の懸念が強い。関電、北陸電は自社発電所で活断層を調査中でもある。

しかし、原発は国の設置許可を受けて運営されており、国が事後的に許可を取り消す場合、「責務の帰属が国か事業者かは判断が難しい」(外資系アナリスト)。廃炉になるとしても、その費用分担をめぐって訴訟となる可能性も指摘される。

また、原電は日本初の商業用原子炉である東海第一原発の廃炉作業を1998年から行っており、財務が悪化したからといってすぐに法的整理するのは困難だろう。そのため、国と電力業界による何らかの支援策も想定される。将来的には、敦賀3、4号機の用地に火力発電所を造って廃炉費用を捻出しつつ、廃炉専業会社として国内外で最先端ノウハウを生かすという道も考えられよう。

国内原発のパイオニア的存在である原電の先行きは、日本の原子力政策のあり方にもかかわってくる。

(週刊東洋経済2012年12月22日号

中村 稔 東洋経済 編集委員
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