京王「開かずの踏切」日本最多を返上できるか 立体交差化でホーム拡幅、混雑解消も狙う

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ラッシュ時の明大前駅。先行列車の後ろにすぐ次の列車が続いている (写真:tarousite / PIXTA)

また、2面4線化はこれ以外の効果も生むと京王は説明する。「ラッシュ時には、本線と待避線に列車が交互に発着することにより、先行列車の遅延の影響を軽減でき定時性の向上が図られるものと考えている」というのだ。

つまり、先行の列車がホームを出るか出ないかのところで次の列車がもう片方のホームに入ることができ、そのぶん現在の「渋滞」ともいえるような状況の解消につなげられる、ということだ。

同様の扱いは、JR東日本の中央快速線でも行われている。三鷹駅や中野駅では、複数の線路を使用して都心へ向かう列車をさばいている。こういったことが、京王でも行われるようになるのだ。

ただし、これらの完成後にダイヤをどうするかはまだ決まっていない。京王はこの春、座席指定制列車の導入を発表したこともあり、ラッシュ時の混雑緩和やスピードアップが期待されるが、「連続立体交差化後の具体的な運行計画については、座席指定列車のダイヤも含め、完成時の輸送需要などを踏まえながら検討していく」(京王)としている。

だが、現状の朝ラッシュ時は多くの人をさばくために速達性が犠牲になり、昼間よりもかなり時間がかかるようなダイヤになっているため、2面4線の駅が加わることで、特急列車の運行は無理にしても、急行列車のスピードアップという期待は持てそうだ。

立体交差化で京王線は変わるか

まずは連続立体交差化事業を優先に取り組む京王電鉄。しかし、工事がすぐにできるわけではない。反対運動なども起きているため、工事の進展には時間がかかることも考えられる。さらに、工事そのものも難しいことが予測される。多数の列車が走る線路の近くで、安全性を確保しながら進めなければならないためだ。

現在の京王線は、昼間の時間帯でも多くの利用者がおり、そのために高頻度の運転が常態化している。それゆえ「開かずの踏切」を現状のままで解決しないわけにはいかない。さらに、仙川を含む調布市は、多摩地域の人口が減少傾向にある中で、なだらかではあれども人口が増えている市であり、地域の輸送を担う京王線も人口の増加に対応することが求められる。まずは連続立体交差化によって開かずの踏切解消はもちろん、混雑の緩和やスピードアップがどの程度実現するかが注目される。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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