京王「開かずの踏切」日本最多を返上できるか 立体交差化でホーム拡幅、混雑解消も狙う
京王線の連続立体交差化と複々線化事業は、2012年に東京都により都市計画決定された。連続立体交差化の区間は笹塚〜仙川間の約7.2kmで、現在の線路を高架化することによって踏切25カ所を撤去する計画。事業年度は2022年度までだ。複々線化は、笹塚からつつじヶ丘駅手前までの約8.3kmに新たに地下線を建設する計画だ。
このうち、すでに動き出しているのは連続立体交差化だ。京王電鉄は「慢性的な交通渋滞や地域分断の要因である開かずの踏切に対しては、当社としても最優先で対応しなければいけない課題だと認識している」と述べている。
そして、「事業主体の東京都や地元区と協力しながら、まずは連続立体交差化に取り組むこととしています」とする。立体交差化と複々線化を同時に行うのではなく、まず踏切の解消に向けた立体交差化を行うわけだ。東京都都市整備局は「複々線化事業はあくまで(鉄道の)輸送力増強が目的で、京王電鉄が判断すべき内容だと考えている」と話す。
複々線化は先のことになるが、連続立体交差化が完成するだけでも混雑緩和にはなりそうだ。現在、笹塚〜仙川間で列車の追い抜きができる駅は桜上水と八幡山しかないが、これに加えて明大前と千歳烏山も、桜上水駅と同じ2面4線の構造にする計画だからだ。
駅改良で混雑緩和は実現するか
連続立体交差化は東京都の道路整備の一環として行われる事業のため、国や都、沿線自治体が費用の85%を負担するが、都建設局によると現状の駅の構造よりも大きくなるものについては京王が負担することになる。駅が大きくなる分の費用を全て負担して明大前と千歳烏山を2面4線にするのは、もちろん混雑緩和が目的だ。
京王電鉄は「明大前駅と千歳烏山駅は、急行系列車(注:京王電鉄の特急~快速までの各駅停車ではない列車のこと)の停車駅であるため、乗降されるお客様が多く、また乗り換えるお客様によりホーム上が混雑している状況となっている」ことを挙げる。
千歳烏山は、準特急の停車駅になったことにより、急行・快速列車や普通列車から準特急に乗り換える利用者がホームにあふれていることが多い。また、明大前は、井の頭線との乗り換え駅ということもあって利用者が多いが、その割にはホームが狭い。
京王は「今回の連続立体交差化により、ホーム幅員を拡幅するとともに、待避線を設カ2面4線化することにより、ホーム上の混雑緩和や乗り換えの利便性の向上がはかられるものと考えています」という。
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