アメリカ男子も「草食化」

勝負したくない、守られたい、『ハンガー・ゲーム』男子

アメリカ男子、守られたくなる?

たとえば『ハンガー・ゲーム』というアメリカの若い層向けの小説があります。この作品は2008年に刊行され、その後102週にわたってニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに登場。『トワイライト』シリーズの著者ステファニー・メイヤーらプロからも多くの支持者を集め、その後2012年に映画化されるヒット作となりました。

24人の若者たちが、国家によって死のゲームを強制されるというこの小説は、リアリティ番組の隆盛など現代のメディア事情を鮮明に反映していることで知られます。

しかしそれ以上に気になるのは、主人公が可憐な少女であり、しかも彼女が戦闘の前面に立つところ。

一方少年は「自分では勝てない」と最初から勝負をあきらめており、彼女のメディア戦略担当として、バックアップに徹しています。今までとは反対の構図です。

特に映画版では男の「デクノボー化」が加速しており、後半はもはやただ女の子に守られるだけの存在になっていました。

「あのマッチョ思想の根強いアメリカで、こんな作品が大ヒットするとは!?」と思いますが、同時期にソダーバーグ監督も美人格闘選手を起用し、男をぶっ飛ばす女スパイの作品を作っていました。

どうもアメリカでも男が草食化し、女性の肉食化が進行しているフシがあります。

近年、ハリウッド映画への日本のコンテンツの影響が強調されてきましたが、私たちは、コミックやアニメの本場がアメリカであったこと、その影響を受けて日本でも作られるようになったことを忘れがちです。

いわゆるオタク文化のようなファン側の盛り上がりですらも、その源流はアメリカのSFファン界にありました。

クールジャパンなどとは言いますが、スパイダーマンやバットマンなど、キャラクター作品を大きな商業に盛り上げる手法では、アメリカは日本のはるか先を行っているわけです。

さらにそれだけではなく、高齢非婚の問題や男子草食化など、一見日本が得意にするようなテーマでも、うかうかするとアメリカに後れを取るぞ、と『ハンガー・ゲーム』のような作品を見て思います。

 

撮影:今井康一

【初出:2012.12.15「週刊東洋経済(韓国の強さは本物か)」

 


(担当者通信欄)

もはや、「草食」も専売特許の座にあぐらをかいてはいられなさそうです。ともあれ、日本において「草食男子」はブームに終わらず定常化したのだ。そう感じる昨今、「男性不況」なんて言葉なんかもあるようで。どんどん逞しくなる(?)女性を頼もしく思う次第ではありますが、そんな女性も好況かと言われると微妙な気はします。

さて、堀田純司先生の「夜明けの自宅警備日誌」の最新の記事は2012年12月17日(月)発売の「週刊東洋経済(特集は、PB商品の裏側)」で読めます!
【指針も欲しい。「選択肢ありすぎ」の現代】
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