上場企業の今期は6%増益、来期20%増 【産業天気図・業種別業績予想集計】
増える減益組、目立つ減益幅拡大
一方、16業種が今期に営業減益・赤字となる。赤字が見込まれるのは電気・ガスの1業種。また、減益率のワーストは、中国を中心としたアジアの鋼材市況が急落した鉄鋼(50.0%減)。続いて、石油・石炭製品(40.7%減)、精密機器(21.1%減)、鉱業(16.5%減)、卸売り(11.0%減)の順で減益幅が大きい。鉄鋼や精密機器、卸売りなど「会社四季報」前号から悪化した業種も多い。
電気・ガスは業界18社で総額8125億円の営業赤字。ガス会社は好調に推移するものの、電力大手は福島第1原子力発電所の事故の影響で全国の原発が稼働停止、再稼働したのは関西電力の大飯原発3、4号機にとどまるため大幅なコスト上昇が続く。このため、来14年3月期も原発比率の高い複数の電力会社で赤字が残りそうだ。ただ、ガス会社が好調で、原発依存度の低い電力会社では黒字回復も見込まれるため、電気・ガス業界としては、来期は黒字化しそうだ。
そのほかの業界でも来期は軒並み改善の見通しだ。全体では今期比で2割の営業増益が見込まれる。特に改善が大きいのは、今期、ともに市況急落に苦しんだ海運と鉄鋼。ほかでも反動増の予想される業界が多い。また、国内産業を支える存在である輸送用機器や電気機器でもコスト削減やリストラ効果があり、利益は続伸する見通しだ。
■次ページ以降に業種別営業利益・純利益予想の集計表を掲載