初公開 「鉄道自殺数」が多い路線ランキング 過去10年累計を比較、もっとも多いのは?

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大人の飛び込み自殺については、ブラック企業で過酷な労働を強いられた人たちが、勤務前後に鉄道自殺しているケースも多いのではないか。首都圏の鉄道自殺が減らない理由は、もしかしたらここにあるのではないか。

これは筆者の想像に過ぎないが、いずれにしても、鉄道自殺が減らないということは、目に見えない部分で何らかの歪みが起きている可能性がある。

JR宇都宮線は4割も減少

2005年度から2014年度までの10年間を前期と後期にわけ、自殺が増えた路線と減った路線をまとめてみたところ、京王線、西武新宿線、東急田園都市線、東武東上線、小田急小田原線などが後期5年間で大きく増加していることがわかった。総武線は、新小岩駅を中心に快速線で多発した影響とみられる。

一方、前期にくらべて自殺が減少したのは、JR常磐線(全線)・高崎線・宇都宮線・東海道線などだ。とくにJR宇都宮線では4割も減少している。なお、JR中央線は前期、後期とも高止まりしており、ほとんど変化がなかった。

自殺が増えた路線の利用者が「人身事故増えたよね」と感じているとしたら、その感覚は正しいことになる。では、鉄道自殺が多い場所はどこか。次回は、駅・駅間での自殺の傾向をまとめてみたい。

佐藤 裕一 ジャーナリスト(日本不審者情報センター)

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さとう ゆういち / Yuichi Sato

1975年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。取材テーマは鉄道人身事故と若者の過労死問題。2016年に日本不審者情報センター合同会社を設立。著書に『鉄道人身事故データブック2002-2009』。

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