初公開 「鉄道自殺数」が多い路線ランキング 過去10年累計を比較、もっとも多いのは?

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総延長の長い路線は鉄道自殺に遭遇する率が高いという見方もあるかもしれない。そこで、1営業キロあたりの自殺件数を調べてみた。結果はやはり中央線の4.8人が最高。

その次は山手線の3.3人。以下、京浜東北線3.0人、東急田園都市線2.9人、総武線2.6人、東武東上線2.5人などと続く。日々、人身事故情報に接している感想としては、山手線はそれほど多くないという印象だが、営業キロあたりの自殺件数はトップクラスだった。

首都圏の主要路線のユーザーは、東西南北どこへ行くにも、自殺と無関係ではいられない。首都圏の15路線だけで10年間に計1985件もの自殺が起きている。1カ月あたり16.5件、2日に一度というペースだ。首都圏の鉄道網を日常的に使うということは、1日おきに住人が飛び降りるマンションに住んでいるようなものかもしれない。感覚を麻痺させなければ、耐えられそうにない。

にもかかわらず、政府の公表する自殺統計は不十分なため、どのような人が、どんな理由で鉄道自殺したかは、実はよくわかってない。

鉄道自殺をめぐる情報不足も問題

内閣府が発行した2015年版の「自殺対策白書」では、自殺の方法を性別・年代別で示している。その自殺方法のひとつに「飛込み」というのがある。警察の資料によると、「飛込み」とは「走行中の電車、自動車等への飛込み」とされているが、自動車への飛び込みは滅多に耳にしないことから、ほぼすべてが鉄道自殺だろう。

「飛込み」の割合が他の世代と比べてもっとも高いのが、男女とも「19歳以下」だ。すぐに思いつくのが、5月9日、東急大井町線の荏原町駅(東京都品川区)で発生した女子中学生2人の自殺だ。制服姿の2人が同時に急行列車に飛び込み、いずれも死亡した。

連休明けというタイミングは、夏休みや冬休み明けの始業式前後に子供の自殺が増えることと関係があるかもしれない。今年1月には、愛知県内で男子中学生が相次いで列車にはねられ死亡した。東武野田線で17歳の男子高校生が、東武東上線でも16歳の男子高校生がやはり1月に列車にはねられ死亡している。

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