原発事故「自主避難者」が主張していること 住宅の無償提供支援打ち切りに抗議
福島県は今年1月、住宅無償支援の打ち切り対象となる約1万2600世帯のうち、借り上げ住宅で暮らす9944世帯を対象にした「住まいに関する意向調査」を実施した。同調査の中間とりまとめ(3月25日現在)によれば、回答した6091世帯(回収率61.3%)のうち、約7割に当たる4285世帯が、「17年4月以降の住宅が決まっていない」と答えている。中でも福島県外に避難している世帯では、回答した3186世帯のうち2501世帯(78.5%)が「決まっていない」にマルを付けた。
福島県では生活再建に向けた新たな施策として、民間賃貸住宅家賃の一部補助などを打ち出しているが、金額も所得に応じて1カ月当たり最大3万円、2年目で最大2万円と少ないうえ2年で終了することもあり、「支援策とは到底呼べない内容だ」と前出の鴨下さんは指摘する。
東京都は「支援終了は福島県の判断」
このように打ち切り後の住まいの見通しが立たない家庭が多いことを踏まえ、福島県は避難者の多い全国10都県と連携して、「住宅が決まっていない」と答えた世帯を対象とした戸別訪問活動を5月中旬からスタートさせた。東京都では5月17日から職員が福島県の担当者とともに戸別訪問や都営住宅団地の集会所での個別面談を開始。6月末まで続ける方針だ。
しかし、こうした訪問調査について、鴨下さんが代表を務める「ひなん生活をまもる会」では「事実上の追い出しを狙ったもの」とみなし、「訪問に応じる必要はない」と呼び掛けている。
都の担当課である住宅施策専門課によれば、「今回の支援終了決定は福島県の判断によるもの。来年4月以降も避難先の都営住宅に住み続けたいのであれば、原則として都営住宅の入居募集に申し込んでいただきたい。災害救助法に基づいて都が借り上げている民間賃貸住宅の場合も3月末で所有者との賃貸契約が終了するため、避難者が所有者と直接話をしたうえで契約を結んでいただかないといけない」という。
そうしない場合は「期限が来た後は形のうえでは不法占拠になる」といい、「そうならないように避難者の皆様に個々の事情をうかがい、アドバイスをしている」(同課)。
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