日本板硝子、巨額赤字からどう立て直すのか 業界のライバル企業からは周回遅れ

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同社も単に手をこまぬいていたわけではない。不振が続く欧州で英国を始め、スウェーデン、フィンランド、イタリアなどで次々と生産設備を休止もしくは廃炉、閉鎖をしてきた。ピルキントン買収時には34基あったフロート窯(現在主流となっている板ガラスの製法)も現在では26基まで縮小。世界的な生産調整を行ってきた。2014年後半になって、ようやくこれらの再構築にも一段落つき、わずかずつではあるが回復の道を歩み始めたと思われていた。

ベトナムでの生産トラブルを除けば、赤字転落は外部経済環境の変化であり、日本板硝子にとって不運な結果に見えるが、原因はそれほど単純ではないかも知れない。減損を行った地域の工場は大きく4カ所。ロシアとブラジル、そして中国、ベトナムだ。

確かにロシアは、経済制裁の影響に加え、原油価格の低下で経済自体が冷え切っている。ロシアでの主体である建築用ガラスの出荷自体も大きく落ち込み、思うような収益が上げられる環境にはなかった。サウジアラビアの動向を見る限り、原油価格が反騰する兆しもみえず、ロシア経済の先行きも不透明なままだ。

各地域の環境悪化が直撃

ブラジルは、世界第4位の自動車市場を要するが、2015年度(2015年4月~2016年3月)の国内生産台数は前期比で3割近くも落ち込んだ。つれて日本板硝子の出荷量も激減。自動車用ガラスの工場を2拠点から1拠点へと統合するなど生産を縮小。人件費削減を進める一方で、粗利の高い自動車の補修用ガラスなどへの拡販も図ったが、それだけでは市場収縮に太刀打ちできなかった。

一方、中国では連結子会社であるピルキントンソーラーが、結晶シリコン型太陽光パネル向けに板ガラス(カバーガラス)を製造してきた。だが、年を経るごとに中国系企業の安値攻勢は激しさを増し、太陽光パネル向けガラスは供給過剰状態が続く。今後の採算性改善も見込めないため、日本板硝子は6月末にカバーガラス工場を閉鎖、事業からの撤退も決定した。

ベトナムでも、生産に着手した高機能薄板ガラスが中国企業の浸潤によりいつの間にかコモディティ化。生産が軌道に乗ったときには市場に過剰在庫が滞留し、採算が大きく悪化していたのだ。

足元では、北米市場は建築用も自動車用も「心配になるくらい好調」であり、欧州も緩やかな回復基調に乗っている。日本では自動車用に減速懸念があるものの、建築用は安定的に増える見通しだ。南米は依然、厳しいが、建築用には動意もみられる。

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