インターン生に成果を求めるのは「間違い」か 給料を払っているなら当然?労働者か否か

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どのような場合、インターンシップの学生も「労働者」とみなされるのだろうか。

「インターンシップは、活動内容や受入企業からの要求水準によって『労働者』に当たる場合もあれば、当たらない場合もあります。インターンシップが労働者に当たるとされやすい要素としては、

(1)職場「体験」にとどまらず他の従業員と同様の作業に従事している

(2)ノルマ設定など成果を求められている

(3)求められる成果を達成できないと制裁がある

この3点が挙げられます」

今回のケースでいえば、どう判断されるだろうか。

「受入企業は時給1000円を支払っています。最低賃金を超える金額を支払っていることから、受入企業がインターンシップを『労働者』として処遇していると理解できます。そして、『労働者』として処遇している以上、成果を求めることも基本的に問題がありません」

インターネット上での過激発言は、また別の問題

「今回のケースとは異なりますが、金銭をまったく支払わなかったり、『手当』名目で最低賃金未満の金銭を支払うようなインターンシップだったとすれば、そもそも成果を求めることとそぐわない、といえるでしょう。

最近では、インターンシップに対して最低賃金以上の金銭を支払うケースが増えているようです。インターンシップで鍛えたり、成果を見るためには、ある程度負荷をかけることが必要で、そのためには労働者として取り扱うことに合理性があると考えられます。

なお、インターンシップを労働者と扱う場合であっても、インターネットのような公共の場で、インターンシップについて発信する場合、発言内容の過激さや対象者特定の容易さ等の事情によっては、名誉棄損など、労働法規とは別の法的問題が生じる可能性は否定できないことにも留意が必要です」

竹花 元(たけはな・はじめ)弁護士
2009年の弁護士登録と同時にロア・ユナイテッド法律事務所入所。2016年2月に同事務所から独立し、法律事務所アルシエンのパートナー就任。労働法関連の事案を企業側・個人側を問わず扱い、交渉・訴訟・労働審判・団体交渉の経験多数。
事務所名:法律事務所アルシエン

 

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