再び1ドルが105円を割れるのはいつか 114円にはドルが超えられない「上値の壁」

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今回のG7を利用して、麻生財務相とルー米財務長官が直接会談した。しかし、お互いの主張は今回もかみ合わなかったようだ。

一部には、ルー米財務長官が日本側に譲歩したなどという報道があったもようだが、最近の市場動向が秩序立ったものかどうかについて認識の差は埋まらなかったようで、両国の主張は平行線に終わった。そのため、今後も円高局面が続き、ドル円が105円を下回るような円高局面になれば、円売り介入の正当性についての議論が再燃する可能性は十分にある。

米国だけでなく、フランスも「日本にNO」

これまで麻生財務相は「最近の円高の動きは無秩序」、「円売り介入ができないとは考えてない」などと、かなり強い口調で最近の円高に対して必要であれば行動する旨を示していた。しかし、米国側は、これまでの円高の動きについて、「無秩序と言うにはハードルが高い」と一蹴している。

日本側からすれば、ゴールデンウィーク中の円高は看過できなかったということであろう。4月に日銀が追加緩和を見送った際には、わずか2日間でドル円が5円も急騰した。

確かに、この動きだけをみれば、無秩序のように見えなくもない。しかし、米国側は、数年前と比較して大幅に円安が進行したことから、いまさら多少円高に振れたところで問題ないだろうと考えているフシがある。

今後、再度円高に進まないとも限らないが、もし、その際に円売り介入をしようとすれば、米国を含め、他国の了解が必要になるだろう。今は、日本だけが自国の都合で勝手に介入などできない状況にあるのだ。

また、今回のG7では、米国だけでなく、フランスも同様の趣旨の発言をしている。フランスのサパン財務相が、「為替市場にファンダメンタルズとのかい離はみられない」との認識を示し、「為替介入の必要性は見当たらない」としたのである。

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