再び1ドルが105円を割れるのはいつか 114円にはドルが超えられない「上値の壁」

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米仏の明確な「反対」によって、円売り介入の可能性を保持しておきたい日本側も動けなくなったといえるだろう。為替水準については、各国の都合が優先されるため、議論は平行線をたどることになる。

確かに、G7各国が指摘するように、「為替の過度の変動は経済に悪影響を与える」ことは確かであろう。しかし、その「過度の変動」を明確に定義する基準はない。あくまで各国の主観による判断でしかないわけである。

こうして見て行くと、ドル円は上にも下にも動きづらい展開が続く可能性を念頭に入れておくべきだろう。日本政府がどの程度のドル円の水準を望んでいるのかは不明だが、115円程度とすれば、それはやはり期待が大きすぎると言わざるを得ない。

チャート上には114円半ばにきわめて重要なドルの上値の抵抗ラインが控えている。115円超えはドル円の基調転換につながる可能性があることからも、この水準を超えるのは至難の技だ。

また、今年のドル円の高値と安値の値幅はすでに16円に達しているが、これは2001年から2015年までの平均とほぼ同じであり、今年のドル円はほぼ高値と安値をつけた可能性が高い。

再度の1ドル105円割れは2017年に持ち越し?

結局のところ、当面のドル円は110円を挟んで上下2円程度を中心レンジとした動きに移行することになるのではないか。6月14~15日のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げの可能性が高まる過程で、当面はドル高基調で推移するだろうが、その後はドルがピークアウトし、ドル円は再度105円を試すことになると見る。だが、再び明確に105円を割り込むのは、もしかしたら来年にずれ込むのかもしれない。

その結果、日本株も当面は膠着した状況が続くことも念頭に入れておくべきなのだろう。筆者は「110円=1万6500円」を中心レンジとし、「ドル円115円=日経平均株価1万7500円」が当面の上値になり、下値は「103円=1万4750円」が基準になると考えている。

このドル円と株価の関係を念頭にいれつつ、今後の政策や市場の反応を見ていくことにしたい。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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