東武東上線「脱線事故」は、なぜ起きたのか 中間車両の2軸だけ脱輪、台車が割れた?

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座席をスロープ代わりにして線路上に降りる様子

電車が停止したのは、最後部車両が中板橋駅から2つ目の踏切を超えたあたりで、現場付近は進行方向に向かって緩やかな右カーブ。車内での案内放送は「『確認をしています』という内容で、何が起こったのかわからない様子だった」という。

本田さんによると、脱線した5両目に近い車両に乗っていた客は「ガタガタと電車が揺れ始めて(非常通報の)ブザーが鳴って停まった」と話していたという。緊急停車後は駅から駆けつけた駅員らによって、電車のシートをスロープ代わりにして避難した。脱出は時間がかかったものの、特に混乱などはなかったという。

運休は長期化

本田さんが現場の関係者に聞いたところによると、脱線の原因は不明だが「台車が割れた状態になっている」と話していたという。

東武鉄道によると、午後2時30分の時点で現場では脱線状況の確認が続いており、東上線は池袋~和光市間の上下線が不通となっている。運転再開の見込みは今のところ未定という。

追記(5月19日)

復旧作業が完了し、5月19日始発電車から運転を再開した。原因についても、その後、いくつかのことが明らかになった。

東武鉄道が現場を調べ18日夜に会見をしたところによると、脱線した5両目後方の四つの車輪は進行方向右側に約10センチほど脱線していた。その台車枠には長さ15センチ、幅最大12ミリほどの亀裂があった。ただし台車の亀裂によって脱線したのか、あるいは脱線した結果として亀裂が発生したのかはわかっていないという。

       (写真は本田雅一氏撮影)

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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