慢性的な電車の遅延問題は、解消できるのか 利用者が滞留する駅ホームの構造にも課題
ラッシュで混み合う朝晩の通勤電車。混雑自体に加えて頻繁に発生する「遅れ」も通勤利用者の悩みの種だ。トラブルによる長時間の運転見合わせだけではなく、1分1秒を争う朝のラッシュ時は、わずかな遅れが乗り換えなどに響いてくることもある。普段なら乗り継げる電車が目の前で発車してしまった経験がある人も多いだろう。
国土交通大臣の諮問機関、交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」は4月、今後の東京圏の鉄道整備についての指針を国交相に答申した。答申に関する先日の記事でも報じた通り、この答申では新路線のプロジェクトなどと並び、遅延対策が大きなテーマの一つとなっている。
ほぼ毎日遅れている路線も
特に指摘されているのは、慢性的に発生している短時間の遅れだ。答申では遅延について「東京圏の都市鉄道が稠密な運行ダイヤを前提としつつも定時性を確保してきたという点については世界に誇るべきものであるが、近年そうした鉄道輸送の信頼性について懸念が生じる事態となっている」と指摘している。
短時間の遅れが慢性化していることは、鉄道会社が発行している遅延証明書からも知ることができる。たとえばJR東日本は、午前7時から11時の間におおむね5分以上遅れた場合を対象に遅延証明書を公式サイトに掲載しており、過去30日の履歴をさかのぼって見ることができる。首都圏を代表する路線として山手線を例にとると、4月11日から5月10日までの間で遅延証明書の掲載がないのは6日間。それ以外は何らかの形で遅延が発生していたことになる。
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