25歳マーケ女子がプログラミングを学ぶ真意 もはや共通言語、知らないではすまされない
ようやく新天地に慣れ、時間もできた昨年12月。「まずは趣味でプログラミングを始めてみよう」と考え自分で調べ始めたものの、何から手を付けていいのかわからず途方に暮れる。東京にはエンジニアの友人がいるが、大阪にはいない。最終的にはプログラミングスクールへ通うことにする。
1カ月学んだだけでも景色がまったく変わった
梅田にある「TECH::CAMP」(テックキャンプ)の教室で1か月間、プログラミング言語の「Ruby(ルビー)」をみっちり勉強した。「自学自習は私には無理だったので、教室に行くのを課すことにした」。平日は帰宅後に3~4時間、休日は1日6時間を費やし、教材に沿ってツイッターのようなSNSを作ってみたりもした。
「1カ月学んだだけでも景色がまったく変わった」と峰松さんは振り返る。マーケティングの仕事は企画を頭で考えることが主である一方、「自分が作りたいものを作る作業は単純に楽しかった」。
峰松さんが目指すのは、会社と商品の知名度を上げること。その手段の一つにブログがある。「商品ぜ~んぶ使えます!日本一掃除しがいのある汚い家募集中」。昨年11月にはこんな記事を投稿し、ちょっとした話題となった。その後、実際に応募してきた人の家に木村石鹸の商品を携えて掃除しに行った模様もリポートするなど、ユニークな企画を展開している。
確かにブログのアクセス数は上がった。ただ記事の内容が独り歩きし、会社や商品自体の認知につながっていかない。そして進めている企画が、単なるブログにとどまらない自社の情報発信サイトを作ることだ。ブログの制作に使っている開発ツールの「ワードプレス」上で、プログラミング言語の「PHP」を用いてカスタマイズする。初めて触れる言語ではあるが、「すでにRubyを学んだので、規則が若干異なるだけのPHPはすっと理解できた」という。
そんな峰松さんのやる気をサポートするのが、創業家で社長の長男である木村祥一郎副社長だ。3年前に実家に戻る前は大学卒業後に起業したITベンチャーを営んでいたという木村副社長は、IT全般に明るい。
そもそも峰松さんが木村石鹸を知ったきっかけは、ITベンチャーの採用情報が多い転職サイトの「Wantedly(ウォンテッドリー)」で木村副社長がウェブデザイナーの募集をかけていたことだった。明らかに場違いな投稿に峰松さんは驚いたが、「ITがわかる“中の人”がいる」と感じ、話を聞いてみることにした。
「働きたい」という峰松さんに、木村副社長は「ほんとにいいの?」と目を丸くしたという。「新しいことをやるからには、せめて肩書きだけ新しいものを下さい」と希望した峰松さんに対し、木村副社長は社内から4人を集め、なんと新しくマーケティングの部署を立ち上げることで応じた。
今後は本格的にプログラムを書けるエンジニアも採用し、ただ商品を売るのではなく、アプリなどを組み合わせて1つのサービスとして提供していきたいという。「これからの時代は自社でテクノロジーを持たないと差別化できない」。木村副社長にはそんな問題意識がある。
今やどんな産業もITなしにビジネスは成り立たない。たとえ文系のビジネスパーソンでも、ITエンジニアとともに仕事をする機会が増えれば、峰松さんのいう「共通言語」としてプログラミングを知っておく必要性は高まる。2020年度に小中学校でプログラミング教育が必修化する検討も始まった。英語と同様、1億人に必要なスキルになろうとしているのだ。
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